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Fee des neiges

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外は生憎の雨だった。

「うー…じめじめしてるのホント勘弁。今日買い物したかったのにぃ…」

ルーシィの手には子供が好きそうなパッケージの小箱。全側面に、なないろのゼリービーンズと書かれている。
苛々しても疲れるだけだ。
疲れた体をぐったりとテーブルに押し付け、盛大な溜息をつく。

「雨…早く止んでくんないかなぁ」

屋根から伝ってきた雨水が上から下へと落ちていく。
窓越しに灰色の空を見つめながら、一つ摘んで口へ放り込んだ。
ふに、若干水分が抜けて、やや硬め。
もう少し柔らかいほうが好きなのだが。

「あら、可愛い。どうしたの?それ」
「昨日の夜、子守の依頼あったじゃない?」
「ああ、ジュエさんのところのお店ね」
「そうそう…あ、いる?」
「うん、一つちょうだい」
「ミラさんのイメージは青だからー、はい、ピンク!」

体を起こして、桃色のほうを一つミラの口に入れてやる。

「なあに、イメージ青って言ったじゃない」
「うん、でも何かピンクも可愛いかなって」

甘い。ミラが猫のように笑う。
「かしっ」噛んだ瞬間広がる甘みにルーシィも歯を見せた。

「5人いたんだけど、みんなやんちゃで大変だったのよー。これはイリスちゃんからもらったの。ジュエさんが買ってくれたんだって」
「ふふ、その様子じゃ、ルーシィは大人気だったみたいね」
「うーん、どうなのかな?子供は好きなんだけど。ていうか、シュエの方が懐かれて大変そうだったのに…やっぱ体力の差かぁ…」
「ふふふ。まぁ紅茶でも飲んで」
「うん、ありがとぉ」

ぐてっと またテーブルに突っ伏したルーシィにミラがアップルティーを入れてやる。
頭だけ起こしてカップの縁から息を吹きかけ冷ましていると、裏戸からシュエが入ってきた。

「シュエ」

どっから入って来てんのよ。
そうは思っても突っ込む元気もないルーシィ。

「はよ。ミラ、ルーシィ。いい天気だな」
「雨は悪い天気っていうのよ…」
「ふふ。シュエはじめじめしてる天気大好きだものね」
「いや、日差しが強い日が苦手ってだけで別にじめじめしてるのが好きなわけじゃねぇよ」

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