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Fee des neiges
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薄紅の花吹雪の中。
君を抱きしめた。「…寒い」
そんな薄いトレーナー一つで外に出るからだ。
(ナツじゃあるまいし。)
身の回りに気をつけない友人にやれやれと振り返る。
「さむいよー」
「わかったよ」
口を尖らせている相手にコートをかけてやろうと、自分の着ているのを脱ぎ、シュエの後ろに回った。
並木のそこら中からヒラヒラと花びらがシュエの髪に舞い降りる。
軽く振り払えば額の上にもう一つ。
前髪に指を差し込み、梳いてやる。
「…桜」
「ん?」
「綺麗だな」
まぁ、確かに綺麗だ。
ぼうっと花を見つめるシュエに 手を止めた。
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