テツくんがこの世界からいなくなって数日が経った。 表面上は普段通りを繕っても、それでも心の奥ではまだテツくんのことが忘れられない。 テツくんに出会ったのは中学一年の半ばに差し掛かった頃だっけ。 部活の帰りにテツくんがアイスの棒をくれた…最初はごみかと思ったけれど、棒をひっくり返してみれば、そこには”あたり”の文字が。 しかも試合になると別人みたいに凛々しくなるんだよね。 そんなカッコいいところとか優しいところとか…本当にテツくんが大好き。 なのに、テツくんは私の気持ちには応えてくれなかった。 残り僅かな命の自分では私を幸せにすることはできないから、ってテツくんは言ってた。 そうやっていつだってテツくんは相手のことを考えて優しく声を掛ける。 自分の方が辛くて苦しいんだろうに、私の心配をしてくれて。 …そんなところが、私は好き。 大ちゃんと喧嘩して慰めてくれたときも。 すっかり変わってしまったみんなを戻していったときも。 いつだって、テツくんは私達を笑顔にしてくれた。 優しくて、友達思いのテツくんが本当に大好きなんだ。 だけど、私の初恋は終わってしまった。 初恋は叶わない、なんて噂だけだと思ってたけれど…本当なんだね。 私がテツくんを好きな気持ちは変わらないだろうけれど、テツくんはもっと素敵な人を見つけてくださいって言った。 きっと私がいつまでもテツくんに未練を持っていたら、テツくんは安心できないんだろうね。 だから、もし私の前にテツくんより素敵な人が来たらその人と付き合うかもしれないけど……それまでは、テツくんを好きでいさせてね。 120916 title:infinity [prev|next] ← |