昨年のインターハイ予選決勝、秀徳は黒子のいる誠凛に敗北を帰した。 今思えば、インターハイのときのオレは驕慢があったのだ。 勝つことが全てだった帝光バスケ部に在籍していたから、オレは己の力のみを信じてきた。 しかしインターハイで誠凛に負けてから、その考えが間違いだったのではないかということに気付く。 そのお蔭か、ウインターカップ予選で誠凛と戦ったときの試合は………楽しいものだった。 中学のときは勝つことが当たり前すぎて、感じていなかった感覚が今になって沸々と湧きあがる。 これが黒子の言っていたチームというやつなのか、ということをようやく理解した。 黒子が病気で余命僅かだということを知ったのは、春期休暇の真っ只中だった。 オレが黒子の元へ駆けつけると、黒子は平然とした態度で、オレの言葉を使ってこれが運命だったのだと言った。 オレは忘れていた大切なことを黒子に思い出させられた…その借りを、オレはまだ返していないのだよ。 黒子と会う約束をしていたその日のおは朝占いで、蟹座の順位は二位だった。 そしてオレが唯一負けた星座は水瓶座…そういえば黒子の星座がそうだったか。 水瓶座のラッキーアイテムは、かつてオレをひっかいた嫌いな動物…三毛猫の置物であった。 ………確かに猫は嫌いだが、それでもオレは黒子に大きな借りがある。 仕方ないが、今日のオレのラッキーアイテムである食品サンプルを調達するついでにお前のラッキーアイテムを調達してやろう。 猫は嫌いだが、お前の為だと言うならば今だけは我慢してやる。 その日の水瓶座の運勢は一位だったが、果たして黒子にとって最高の一日になれただろうか………その真意は、今ではもう分からない。 120916 title:infinity [prev|next] ← |