キセキの世代達にとって、二度目のインターハイの時期がやってきた。

今年のインターハイで東京代表として選ばれたのは、誠凛、秀徳、桐皇であった。
主に得点を重ねたのは、キセキの世代の青峰と緑間、そしてキセキの世代ではないが彼らと何ら遜色のない火神であった。

昨年のウインターカップを最後に、それまでの三年生は卒業を迎えた。
桐皇と秀徳からも、全国で名を馳せた三年生達が姿を消した。
その点、新設校の誠凛は二年生が主体だったため、今年は有利なのでは…と騒がれた時期もあった。
だが、司令塔であり無冠の五将の一人である木吉はウインターカップの連戦が響き、左膝を再び痛めて戦線離脱した。

斯(か)くして、今年のインターハイはどの学校が優勝するか予想がつかない状況になっている。



誠凛では、三年生に進級した日向がそのまま主将を引き継いでいる。
昨年までのスターティングメンバーから主力とも言える木吉と黒子を欠いたが、日々の練習が功を奏して誠凛はインターハイへの出場が決定した。

「いいか!オレ達は去年ウインターカップで優勝した…それは、木吉や黒子がいたお蔭だ。けど今年はその二人もいねぇ…けど!オレ達は去年以上に練習してきた!あの二人をがっかりさせるような試合にだけはしねぇように、勝っていくぜ!!」

「オウッ!」

日向の掛け声に鼓舞され、他の部員も勢いをつける。
中でも火神の雰囲気は昨年とは明らかに違っていた。

昨年まで火神を支えてくれていた、あの影の薄い少年はもういない。
自身を影だと表現し、火神を光だと言った黒子がもう自分達の前に姿を現すこともない。

出会って間もない頃、黒子は誠凛を日本一のチームにしたいと言い、ウインターカップでそれを現実にして見せた。
とても長い時間を共有した気分だが、それはたった一年間…高校生活の三分の一に過ぎない。
もう少し黒子とバスケをしたかった…それは誠凛の誰もが思っている言葉である。

しかしそうやって惜しんでいるわけにもいかない…少なくとも練習熱心な黒子だったならば、その時間を練習に使って下さいと叱咤するだろう。
だから誰の表現も曇ってはいなかった…ただ目の前の試合に集中し、チームで勝つことを願っている。

「っしゃ!いくぜ…!」

火神は自分の頬を叩いて気合いを入れ、黒子見てろよ…!、と心の中で呟いた。



120911



title:infinity


[prevnext]

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -