青峰くんと桃井さんに見付かってから、桃井さんの質問責めが始まった。
いつから、どんな病気なの、本当に治らないの、と桃井さんの質問に淡々と答えていく。

「何でもっと早く言わねぇんだよ!」

「あと数日と言われたのはこの前でしたから」

「だからって…!」

青峰くんが怒っているのはすぐに分かった。
だけど初めて病気だと告げられたときは、もうみんなから離れていったときだったから言い出せなかった。
…結果、こうなってしまったけれど。


「黒子っちー!!」

「………黄瀬くん」

視界に目立つ、明るい黄色の正体は黄瀬くんだった。
そんな大声で呼ばなくても…とは思ったけれど、ボクの方へ駆けてきて。

「黒子っちーっ!!」

…いきなり黄瀬くんに抱き着かれました。
いつだったか、緑間くんが黄瀬くんのことを大型犬と形容した気がしますが、今の黄瀬くんはまさしくそうだった。

「嘘っスよね!?黒子っちの何かの悪戯でしょ!?あのメール…何かの間違いっスよね?」

「黄瀬くん…」

「ちょ、青峰っちや桃っちも何か言ってくださいよ!」

黄瀬くんが捲し立てるようにボクに尋ねて、青峰くん達の方を振り向く。
だけどボクが彼の言葉を否定する前に…青峰くんや桃井さんの表情から悟ったようで。

「…黒子っち……?」

「すみません…本当のことです」

「そんな…」

表情豊かな黄瀬くんの顔が、ボクの一言で歪んだ。

「嘘でしょ…!?だって黒子っち…ずっと今まで普通通りだったじゃないっスか!」

「隠し続けていただけですよ…」

やっぱり言うべきじゃなかったかな…青峰くん達に怒られようとも、みんなを悲しめるなんてしたくなかった。



120815



title:水葬


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