ウインターカップを終え、春期休暇に入ってから、体の調子が狂い始めた。 頭痛や吐き気といった気持ち悪さがボクを襲い、その日のうちに病院へ行った。 中学のときからお世話になっている、あの医師が何とも険しい顔をしている。 そして今日も、あの重そうな口を開いて言うのだ。 ―――本当は、医師が何を言おうとしているのかボクは分かっていた。 ―――だってそれは、ボクの体のことだから。 「黒子くん、君の寿命はきっともう………」 中学のとき、二十歳まで生きられないと宣告された。 入院して闘病生活をすれば延命できるかもしれない、という医師の勧めをボクは断った。 そうしたら、ボクはバスケができなくなるからだ。 ボクは一時期バスケが嫌いだったけれども、本当にバスケを捨てることはできなかった。 まだボクはバスケがしたい。 ボクと戦ってくれる仲間と共に、変わってしまったキセキの世代の考えを変えたかった。 延命よりも今までの生活を望んだボクに、両親は悲しそうに涙を流しながらも了承してくれた。 生きる時間が短くとも、少しでもボクが笑ってくれるなら…と言った。 ありがとうございます、我が儘言ってごめんなさい、と謝罪すれば両親がぎゅっとボク抱きしめた。 この両親の下に生まれて、本当に幸せだ。 120809 title:infinity [prev|next] ← |