まだ帝光中学の三年生だった頃、ボクはバスケ部から姿を消した。 理由は、帝光中バスケ部の理念に嫌気がさしたからだ。 それまでボクの力を必要としてくれていたキセキの世代と呼ばれた彼らが、昔の彼らと違って見えた。 そのときのボクは―――バスケが嫌いだった。 それから少しして、気分が優れなくなった。 きっとバスケのない生活に慣れていないだけの、ただの精神的な疲労なのかもしれない。 そのときのボクはそう決め付けていた。 しかし体調不良は、いつまでも治まることはなかった。 さすがにここまで不調が続くなんておかしいと思い、そこでようやく病院へ行った。 診断を受けて薬をもらうだけだろう、という軽い考えは砕けた。 年配の医師が深刻そうな表情をして、保護者を呼ぶように言った。 やがてやってきた母親と共に椅子に腰掛けていると、医師が重そうに口を開いた。 残念ですが―――二十歳まで生きられるか分かりません。 その言葉を受け止めれずにいたボクは、きっと普段と変わらない無表情だったろう。 120807 title:infinity [prev|next] ← |