きみを想うしるしに秘密の星屑を
――この未来であり、異世界である、別の世界という場所にやってきてから、幾日が経過していた。
『半兵衛さん、いかがでしたか?』
照明がつき、暗闇だった世界に馴れていた目は、少しその余韻を残していて、僕はそっとそれを細める。
僕に話しかけてきた夢子君は、その行動をただ黙ってじっと見つめていた。
待ってくれている、その彼女につい口元が緩む。
「……そうだね、美しかったし、星に纏わるものは興味深い話ばかりだったよ。毛利君が悔しがりそうだ」
僕がそう答えれば、夢子君は小さく笑ってくれた。
プラネタリウム、というその場所に彼女と二人っきりで訪れることになったのは、ほんの偶然で。
ただ
心のどこかで、これが必然だったらいいのにと願っている自分がいる。
本当に愚かで馬鹿らしいけれど。
『あ、今日、本物の星を眺めにいきませんか?』
「……みんなで、かい?」
何の因果か、この世界にやってきたのは僕だけじゃなくて。
僕と同様に彼女に想いを寄せている他の面子を思い出して苦笑した。
夢子君は誰も特別に見ていないから。
だから、僕は特に期待せずに言葉を紡ぐ。
過度の期待は、後々虚しくなるだけだからね。
『……それもいいんですけど、……今夜は皆さんには内緒で、二人だけでこっそり』
悪戯っぽい仕草で、人差し指を口元に当てる夢子君は、僕の心臓を鷲掴みにする術をすべて知っているみたいだ。
「……いいよ」
あぁ、どうしてこうも
君は僕を狂おしい想いで縛り付けるんだろう。
君から離れようとしても、至極簡単に僕を掴んで離さない。
……ねぇ
今夜はきっと君を抱き締めるよ。
そして、そっと
その唇に
その首筋に
君の全身に
僕の証しを刻んであげる。
きみを想うしるしに秘密の星屑を
(星を泳ぐ魚様へ提出)
素敵な企画に参加させていただきまして、ありがとうございました!企画というものに初参加だったため、緊張いたしました。