現状を打破するには
長太郎>えっと、それじゃあ整理し直そう

新垣浩一>平古場先輩が落城やし

金田>柳沢先輩もやばいかもしれない

裕太>ちょっと待って俺整理できない

桃>その前にマムシに雨の中無理やりスマホに変更させた

<桃が海堂薫をトークルームに招待しました>

日吉>どんどん増えるな。このグループメンバー

善哉(光)>てかアイツにスマホが弄れるとは思われへん

Eve(深司)>それなんとなくわかる

eleven(十次)>とりあえず海堂ー、俺室町だからー

海堂薫>とりあえず財前と伊武が俺を馬鹿にしてることはわかった

桃>お、ちゃんと打ててんじゃん!

樺地>ウス

善哉(光)>マジか

海堂薫>馬鹿にしてんのか

長太郎>あ、そうそう。今回から樺地もいるから。樺地招待した時のメンバー以外もいるし、一応言っとくね

樺地>よろしくお願いします

神尾>おう。二人ともよろしくな!てか話進まなくね?

ダビデ>二年生の会どう?海堂……

善哉(光)>天根つまらん

海堂薫>まだわかってねぇ。て、ダジャレか

日吉>全然進まないな、いい加減話を進めろ

Devil(赤也)>だーもう!!本当に進まないじゃん!!通話に切り替えるからな?!

樺地>ウス

裕太>トイレに籠るOK

ダビデ>わかった

新垣浩一>外行く

桃>準備おっけー


流れる文字を見ながら、俺は宣言通り通話ボタンを押した。

「あーあーあー、マイクのテスト中ー」
『聞こえとるわ、いつも大声で辞めろや』
『切原本当に馬鹿だよね……腹立つなぁ』

財前と伊武の声を無視しつつ、ごほんっと大きく咳をする。
「うわ、うるさ!」「切原咳するならスマホを少し離せ馬鹿」とか(たぶん財前と日吉に)言われるが気にせず続けた。

「まずは今日の大事件の報告を、鳳っ」

『あ、うん。鳳です。えっと、雷の時、宍戸さんと医務室に辿り着いた俺が見たのが衝撃的だったんだけど……とりあえず、忍足さんをどうしたらこの世から抹殺できるかなって──』
『え、鳳、どうしちゃったの?!そんなキャラだった?!』
『──いや流石に本気で思ったわけじゃないんだけど。ごめん、金田。俺は冷静だよ』

ニコッと電話なのに効果音が聞こえそうな笑い方で鳳が電波向こうで微笑んだに違いない。しかし、それが異様に恐怖を感じた。
やっぱり目撃者だけあって、流石に鳳にはダメージがでかかったようだ。

「だからー、とりあえず、忍足さんと仁王先輩と千歳さんは幸村部長にめっちゃ怒られてた。あの人、自分がしたこと棚に上げてめっちゃ怒ってた」

『切原。自分、本人おらんからって……』
『あの人陰口嫌いじゃなかったか?大丈夫、なのか?』
『……切原の死体が明日見つかったら供養だけはしといてやる』

財前、海堂、日吉の言葉にうっと言葉が詰まりつつ、辺りをキョロキョロしてから、ここは俺の自室だから絶対大丈夫だってと叫ぶ。

『あー……わん、気んかいなとーんどーしが……』

『どーした?新垣』

新垣の声に神尾が尋ねてた。

『……わんら、先輩ら相手に何ができるんかなーと思ってさー……』

何人かが「うっ」と詰まったような声を出した気がする。

『……実は俺もこの間食事した時に千石さんから引き離そうとしたけど……上手くいかなかったし、詩織って……いつの間にかどっか行くし』
『夢野、結構目を離した瞬間に移動してるよな。忙しないっていうか……フラフラしてるっていうか……そこが放って置けねぇーなって思うんどけどな俺は』

室町と桃城の言葉に確かに夢野はチョコチョコと動き回るよなと思った。
その夢野を先輩らから引き離すのって結構難しい気がする。
じっとしとけよって言っても聞かない気がめっちゃするし。

『てかさ……今の桃城の言い方、最後の方ニヤニヤして言ってるの丸わかりで腹立つし……ムカつくなぁ』
『な、仲間割れは止めようか!』
『ウス、今は……止めましょう』

伊武のボヤきに金田と樺地が仲裁に入った。
樺地にそう言えば……と思い出す。

「『樺地、そう言えば跡部さんって──」』

神尾と被ったセリフにげっと思った。向こうもそう思ったらしく、タイミングよく同じところで言葉を止める。

『……俺もそれは聞きたいと思っていた』
『お、俺も聞きたいっ』

『ウス……。跡部さん、は……一緒だと思います。夢野さんは……不思議な人、ですから』

日吉、不二裕太の後に続けた樺地の言葉に暫く誰も何も言わなくて。
そう夢野について語った樺地自体も一緒なのかとか頭の悪い俺でも感じた。

『……一生、一緒に、片思いっしよ……ぷっ』
「『『それは嫌だ」』』

天根のダジャレに声が重なって、あーもう……っとベッドに背中からダイブする。


──現状をどうにかしたい。

俺はアイツと、夢野と普通に遊びに行きたいし、それは可能ならば二人っきりがいい。

ただ今は先輩らの方が強くて。
そこがまたイライラする。


「とりあえず、明日も試合勝って、そん次も勝って常勝立海大ーっ」

『いや……不動峰が勝つから……ほんとムカつく、ぶっ倒そ』
『そうだぜ!!関東大会の雪辱、お前らに返してやるからな!!』

『不動峰が決勝まで残ることないっすわ。明日俺ら四天宝寺に負けるんやから』

『おいおい、不動峰も四天宝寺も、どっちが勝っても、立海の前に俺ら青学と対戦すること忘れてもらっちゃいけねーな、いけねーよ!』
『フシュウゥ……そして立海も倒すからなコラ』

『明日勝つのは……氷帝、です』
『あぁ、樺地の言う通り、明日準決勝、決勝とコマを進めるのは氷帝だ』
『うんっ!宍戸さんと俺は負けないから!』

俺に反論するかのように続けたコイツらにふっと笑みが零れ落ちた。

流石に不二裕太やらはそれらを聞いていただけだけど、小さく「……来年こそは」って呟きが聞こえて笑っちまう。

そうだ。
優勝もたった一校。

夢野を手に入れんのも、たった一人なら。

優勝と一緒で、掴み取ればいいだけ。

とりあえず、今は邪魔な先輩らをぶっ潰すのにコイツらと一時的に手を組むだけだ。
その後はただ……

誰が掴んでも恨みっこなしって感じで。

いいんじゃね?

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