いっぺーまーさん!
「ふふふ、桃ちゃんと薫ちゃんも頑張ってるけど、このチーム戦、勝利を手にするのは私たちだ!ね、田仁志さん!ってぁあぁあーっ?!」

「ぶおっ」

いきなりわたに頭突きを食らわされた。思わず口いっぱい放りこんで食べてたバサナイが飛び出る。

「何すんだばぁ……!」

俺のバサナイ、もったいないさー!

「それはこちらの台詞ですよ!せっかく集めたバナナ、こんなに食べちゃって……どうするんですか!」

「んなこと言われても、俺はやーさいだばぁ…!」

「や、やーさい?野菜じゃないし……いや、お腹空いててもダメです!」

「お前、かしましいさー!!」

籠の中に残っている分をとろうとしたら、籠の前で手を広げて邪魔をするから、むっとした。
夢野というこのいなぐは、昨夜もわったーらの邪魔をしたところだ。
こいつと別れた後、永四郎がめちゃくちゃ悪い顔で笑っていて怖かったのは忘れられないさー。


「田仁志さん!今食べるの我慢したら……夕食特別盛りにします!!もう誰もが羨むスペシャルメニュー!!」

「す、すぺしゃるめにゅー?!」

ぐうぅぅっと鳴ったわたの虫。
ブイサインをしながら、にっと笑った夢野にごくりと生唾を飲み込んだのだった。




「ちょ、慧くんだけなんなんさー?!」

「……これは」

その日の夕食は俺だけ夢野の言っていたすぺしゃるめにゅーだった。
裕次郎が「ちむはごーよ!」と大声をあげ、永四郎は眉根を寄せたまま、難しい顔をしとったさー。
けど、俺には関係ない。俺が重要なのは、この目の前のくわっちーをどう食べ始めるかだばぁ。

「くわっちーさびら!!」

俺の中で、夢野はかしましいやつから、美味しい料理をくれるいいやつに昇格していた。
あとよく考えたら、俺についてきたり、俺とチームを組んだり、俺にすぺしゃるめにゅーを作ってくれたり……もしかして、俺のこと、くぬむんなのかもしれんさー。

「いっぺーまーさん!」

「……田仁志クン、食べている時は汚いから喋らないようにしなさいよ」

永四郎の真顔が怖かったので、その後は黙って食べたのだった。

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