暇つぶし
ぼんやりと空を飛ぶカモメを眺めていると、後ろから声をかけられた。
「カモメなんか見て、楽しいのかよ?」
振り返ると、キッドはさっきまでおれが見ていた方を見上げていた。
「ああ、生き物を見てるのは楽しい」
規則的に動いていたかと思うと、思いもよらない動きをしたりと見ていて飽きない。
もっとも、暇つぶしの一環みたいなものだから、他に用事があればそちらを優先する。
そして、キッドがわざわざ声をかけてくる時は大抵なにか用事がある時だ。
「それで、何の用なんだ?」
そう訊くと、キッドは視線をこちらに向けて言った。
「そろそろ島着くから準備しとけ、って伝言だ」
「わかった」
そういいながらもう一度空に目を向けると、カモメはずいぶん遠くまで飛び去ってしまっていた。
良いなと思った方は是非→
拍手
リストへ戻る
TOPへ戻る[ 3/37 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]