風呂場ネタ

※文章だけど一応。キラーがマスク外してます。




 キラーの顔を見たのは久しぶりだった。
 いろいろあってキラーがマスクを着けて以来、特に見る機会が無かったからだ。

 それが今日見ることになったのは、単純に用があって探してたらキラーが脱衣所に居たのが原因だ。

「……最初にマスク外すのな」
「いきなり開けるな。というか、鍵を開けるな」

 女じゃあるまいし、その主張はおかしいだろ。
 顔も知らねェわけじゃないし。

「別におれなら問題ねェだろ」
「そうだが……まあ、仕方ないな」

 少し不満そうだが、キラーも一応納得したようだった。

「……それで、何か用があって来たんだろう?」
「ああ」

 用件を伝えて脱衣所から離れようとしたとき、そう言えば風呂に入って無かったことを思い出した。

 基本、おれとキラー以外は数人で入っているから風呂場の余裕はある。
 おれは船長だからって理由で、キラーは他のヤツに顔を見られたくないって理由だ。

 そんなワケで既に顔を知ってるおれは許可をとる必要もないんだが、一応確認する事にした。

「なぁキラー」
「ん?」
「おれも入っていいか?」

 そう訊くと、キラーは少し悩んでから答えた。

「……ああ、構わない」
「じゃあ替え取ってくる」

 何を悩んでたのかはしらねェが、許可は出たんだから良いんだろう。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 随分と傷が増えたな、と思いながらキラーを見てると、身体を流し終えたキラーがこっちを向いて目があった。

「どうした、キッド」
「いや、思いのほか傷増えてんな、と思ってよ」
「ああ……」

 おれの言葉に、キラーは何故か気まずそうに俯いた。
 まさか傷を気にしてたってこともねェだろうし、責められたとでも思ったのか。

 いや、おれがそういうタチじゃねェこと位キラーならわかってるだろう。
 なら何だ?

 疑問は有ったが、とりあえず話を続ける。

「お前、あんまり表に出さねェから知らなかったぜ」
「そりゃあ、そうしてるからな」
「何でだよ?」

 別に負傷したのを隠すような妙なプライド持ってるタイプでもないだろうに。
 キラーは相変わらず俯いたまま答えた。

「何となくだ」
「何となくなァ……」

 こういう時は大抵隠し事をしてるんだが、詮索するほどのことでも無い。
 とはいえ、キラーに隠し事をされるのは何となく嫌だ。

「なら、次から負傷したら伝えろよ」
「それは……」

 キラーが口ごもる。

「何だよ? 何となく、程度なら断る理由もねェだろ」
「そうなんだが……」

 いまいち煮え切らねェ態度だ。
 これは有耶無耶にしたら絶対今後も隠す。

 その時、空気を察したのかキラーが立ち上がった。

「……キッド、おれはもう出る」
「ならおれも」

 話題を変えてやる気はねェぞ。
 どうせキラーは髪を拭くのに時間がかかるから、その間に事情を聞きだしてやる。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「それで、どうして怪我したこと言いたくねェんだよ」

 逃がさない為ってワケでもないが、キラーの髪を拭くのを手伝いながら改めて訊いた。

「……余計なお世話と言われるかも知れないんだがな」
「……」
「多少であっても、お前に心配をかけたく無い」

 本当に余計なお世話だな。心配くらいさせろよ。
 そう思ったが、口論する気はねェからと口には出さずにおいた。

「それは良いけどな……お前の状態くらいは把握しとくべきだろ」

 正直なところ建前で、ただ心配なだけだ。

「お前はおれの右腕なんだから」

 このまま放っといたら、気づいた時には居なくなっちまうんじゃないか。
 らしくもねェが、そんな事が心配になった。

「……自分で気をつけるから、おれの事は気にしないでくれ」
「隠すんなら毎回風呂に突撃するぞ」
「そ、それは困る」

 キラーがあからさまに慌てて振り返る。
 それが何か可笑しくて笑うと、キラーは照れ臭そうに苦笑いしながらこう返してきた。

「そう言っても、するんだろうな」

 その表情を見たとき、何でこんなにキラーが心配なのかはっきり解った。

 ――おれは、こいつの事が好きなんだ。

「キラー」
「何だ?」
「おれはお前の事が好きだ。だから、怪我とか隠させたくねェ」

 どういう意味で受け取ったかはわからねェが、キラーの顔が赤くなったのを見る限り、意図はそのまま伝わったらしい。

「おれだって、お前が好きだから心配させたく無いんだ」
「お前な……そんなにおれと風呂に入りてェのかよ?」
「そうじゃないが……嫌では無い」
「ならそうしてやるよ」

 そう返した直後、キラーが顔を赤らめたもんだから、何かこっちまで照れ臭くなってきた。
 おれは顔が赤くなる前に、手に持ってるタオルを広げてキラーの顔に軽く被せた。

「とりあえず、そういう事だ……髪拭くから前向け」
「あ、ああ」

 突然の行動で戸惑い気味のキラーに前を向かせて、おれは無心でその髪を拭いた。



【後書き】

診断結果はコレでした
【一時間以内に4RTされたら、脱衣場で、苦笑しあって告白しているキドキラをかきましょう。 #odainano http://shindanmaker.com/68894 】

苦笑しあってからの告白になっちゃいました




良いなと思った方は是非→ 拍手


リストへ戻る
TOPへ戻る
[ 19/37 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]




第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -