文通
※ワンピ世界の手紙の流通が良くわからないのですが、
新聞が届くし船同士でも手紙が届く体で読んでください。
キラーは、数日前にドレークから届いた手紙を読んでいた。
海軍にいた為なのか、性格なのか、ドレークは海賊という割に丁寧な手紙を書く男だった。
くだけた表現はまずないし、形式もしっかりしている。
そのため、キラーも返事を書く際は形式などは整えて送っていた。
だが、さすがに文面まではドレークほど丁寧な言葉で書く事は出来なかった。
ドレークがそれを馬鹿にするようなタイプでないのはキラーにも分かっていたが、一度や二度は努力して書いた事もあった。
だが、それをやると何故かバレて、ドレークからは、「無理はしなくて良い」といった内容を含んだ返事が帰ってきた。
そんな、気遣いも出来る相手だからこそ、キラーの方も楽しくやり取りしてこれたのだ。
しかし、今回はそう気楽なものではなかった。
「どうしたものかな……」
数日前に届いた手紙を眺めながら、キラーはそう呟いた。
シャボンディにて出会った後、色々あって手紙による付き合いが始まった。
初めは、差しさわりの無い世間話のような内容だったが、次第にお互いの伝えられる範囲の近況を伝え合うようになった。
今となっては、直接合うわけではないが良き友人として文通をしていた。
そして数日前、ドレークの方から恋人として付き合いたいという手紙、つまりラブレターが届いた。
今苦心しているのは、そのせいである。
「……」
キラーの本心は、と言えば嫌ではなかった。
むしろ、手紙が返ってくればときめきに似た嬉しさを感じていたし、キラーのほうも多少そういう事を考えていた。
だが、伝える度胸がなかった。
手紙のみの繋がりは、もし相手に嫌悪されれば切れてしまう関係だからだ。
ただ、それはドレークにとっても同じ事の筈だ、とキラーは考えた。
「……よし」
しばらく悩んだ後にそう呟くと、キラーはペンを手にとった。
そして率直な気持ちを、いつもの調子で手紙に書いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
しばらくして、キラーの元にドレークから返事が届いた。
そして、いつもなら挨拶で始まる手紙の一行目から返事が書いてあった。
“こちらもとても嬉しい。これからもよろしく。”
喜びの為か少し震えている文字と、いつもよりくだけた言葉。
ドレークがいつもより身近に思えて、キラーは嬉しさで思わず口もとを緩ませた。
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