良い日

※たまには普通にラブラブなキドキラを、ということで。



 ーーその日のキラーは何か変だった。



「キッド、お前のためにパスタを作ったんだ」

 手に皿を持ちながら、キラーが照れた様子で言う。
 机の上に置かれたのは、うまそうなトマト系のパスタだった。ボンゴレロッソってやつだ。

「美味しくできてると良いんだが……とりあえず、冷めないうちに食べてくれ」

 変わらず照れた様子でそう言ったキラーに従って、おれは食べ始めた。

 ーー美味い。

 普段料理をしてる所なんて見たことなかったが、そうとは思えないほど美味かった。

「……どうだった?」
「おう、うめェな」
「本当か!?」

 嬉しそうな様子でキラーがそう言った。
 珍しくテンションが高くて、本当に今日はどうしたんだと心配になる。

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 昼頃、キラーとデートをしていると、キラーが突然立ち止まった。
 そして、落ち着かない様子で声をかけてきた。

「キッド、ちょっといいか?」
「ん、なんだ?」
「あの、な……こっち来てくれ」

 そうキラーに促され、おれ達は路地裏に入った。
 連れ込まれたは良いものの、俯いたままのキラーは何もいわない。

「おい、どうした」
「……ここ、誰も来ないよな?」

 キラーはそう言って周りを見回してから、マスクを外した。
 そして、おれの首に腕をまわす。

 ーーこれは、あれか。

「……」
「キッド……キスして欲しい」

 上気した頬と、少し潤んだ目。
 キス以上の事をしたくなるのを抑えて、おれはその唇に軽くキスをした。

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 夜、おれの部屋でキラーと酒を飲んでいた。
 おれと違って酒にさほど強くないキラーは、すでに眠気に襲われているようだった。

「もう寝るか?」

 おれの問いに首を横に振ってキラーが答えた。

「なんでだよ」
「だって……まだお前と過ごしたい……」

 やや甘えるようにそう言われ、おれはいよいよ辛抱たまらなくなっていた。

「ならベッドで時間過ごそうぜ」
「……ん、いいぞ」

 そう答えて立ち上がり、キラーが少しふらついた。
 おれはそれを支えてからキラーを抱え上げ、ベッドに近づいた。
 そしてキラーを降ろすとき、おれも多少酔ってたらしくふらついた。

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 ガクッと落ちるような感覚と共に、おれは起きた。

「……あ……?」

 さっきまでいたはずのキラーがいない。
 まさかいままでのアレ夢か。
 確かにキラーがやたら甘えてくるとは思ったが、いくらなんでも色々とリアル過ぎるだろ。
 いや、確かにキラーからキスねだってくるとかあり得ないがな。だからって……。

「あんまりだろ……」
「何がだ」

 そういいながら、キラーが部屋に入ってきた。
 時間的に、おれを起こしに来たんだろう。

「いや……夢で色々な」
「そうか、なんかわからないが残念だったな。ところでキッド……」
「あ?」

「今日のお前の朝食、おれが作ろうと思うんだ……たまにはな」

 少し照れながら告げられたその言葉。

 おれは、アレはこの事の予知夢だったんだと、納得する事にした。




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