キドキラ

思い込みの激しいキッドがやらかした話

※後味悪いです



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 そこは針の森、と呼ばれている場所だった。
 針のようにとがった岩が立ち並び、落ちたらまず命はないと言われる場所だ。

 島の人間はまず近づかないという場所だったが、そこを通った先に宝があるという噂をキッドが聞いたという事で、向かう事になった。
 ただし、キッドの命令により、キッドとキラーの二人だけで行くことになった。

「おれと二人で行きたいなんて珍しいな」
「……色々あってな」

 答えづらそうにキッドが言う。
 キラーは「らしくないな」とは思ったが、それも環境による緊張からだろうと考えた。

「まあ、確かにこの狭い道を大人数で行くのは愚策だし、良い判断だと思うぞ」

 キラーが嬉しそうに言うと、キッドは「そうだろ?」と返した。
 落ち着かない様子のキッドにキラーが問う。

「怖いのか?」
「まぁ……そうだな」
「案外可愛いところがあるんだな」

 余裕ありげにキラーがそう言う。
 というのも、基本的に高所に対する恐怖というものは、彼にとって無いに等しいからだ。
 唯一気になるとすれば下に広がる針林だったが、それも落ちなければ問題ないと考えていた。

「……なぁ、キラー」
「ん?」
「お前はおれの事をどう思ってる?」

 唐突な質問だった。
 そして、キラーを最も悩ませる質問でもあった。

 正直にいうなら、キラーはキッドに船員から船長に向ける好意以上の愛情を持っている。
 だが、キラーにはそれを隠さずに伝えられるほどの自信はなかった。

「おれは……お前の事は大切な船長だと思っているぞ」
「……そうか」
「ああ」

 なにか不信を抱かれるような事を言ってしまっただろうかとキラーは思い返す。
 そして、そう言えば昨日キッドの様子がおかしかったな、と思い出した。

 その瞬間。
 キラーは突き飛ばされ、考え事をしていたためバランスを整えることもできずに足を踏み外した。

「っ――!」

 落下する瞬間、キラーは自分を見下ろすキッドの、今まで見たことのないような悲しそうな表情を見た。

 そしてキラーの身体は地面から伸びる『針』に落ちた。

 数本の『針』がキラーの身体に突き刺さり、胸や腹に穴をあける。
 だが、いずれも心臓などの即死するような場所には刺さっておらず、それは苦痛が長引くことを意味していた。

「ぁ、ぐ……」

 片肺を貫かれ、キラーは息苦しさを感じた。
 出血で死ぬまでこの状態かと思うと、気が滅入った。

 と、何をするでもなく自分を満足そうに見下ろすキッドが視界に入る。

「……」

 笑顔すらうかべる彼を見た時、キラーは自分の目から涙がこぼれるのを感じた。

 それは、身体の痛みによるものでもなく、理不尽な仕打ちに対する恨みでもなかった。

 キッドの表情変化からすべてを察し、取り返しのつかない事をしてしまったという思いを抱いたためだった。

 ――あの時、キッドが望んだ答えを出せたはずなのに。

 さっきの質問でキラー自身の正直な気持ちを伝えていればよかったのだと、そう気付いた。
 ならば全部自分の臆病が招いた結果だと、キラーは自嘲気味に考えこの緩やかな死を享受する事にした。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 望む答えが返ってこなかった。
 それだけでも、キッドにとっては殺すのに十分な理由だった。

 それは、もしキラーが自分を愛していないなら、いずれ他の人間の物になってしまうから。
 ただそれだけの理由だった。


 そう思ったきっかけは些細な事だった。
 昨日、キラーがほかの船員と話すのに夢中で、キッドの呼びかけに答えなかった。
 それだけだ。

 もうひとつ付け加えるなら、その後に文句を言ったとき「子供じゃないんだからそんなことで拗ねるな」と言われたことも原因だった。

 キッドの心が傷ついたというのに、その原因になった事を『そんなこと』と言われ、挙句子ども扱い――つまりは『そういう対象』としてすら見られていないことを突き付けられたためだった。

 そして今日帰ってきた答えは、キッドにとっては無難な、月並みな答えだった。

「……」

 生きているのか死んでいるのかわからないキラーを見下ろしながら、キッドは安堵した。

 ――これでもう、キラーは誰にも奪われねェ。

 そんな事を考えながら、キッドは満足そうに笑みを浮かべた。



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30分以内に2RTされたら突き落とされて転落したキラーを描きます! #yomeR18Gijime http://shindanmaker.com/48069

RT数が足りない?
そんなの関係ねェ、思いついたが吉日だ!

……サーセンでした(土下座)




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