アクシデント

※本気の思いつきなんで誤字脱字あるかも


 船内を二人で移動していた時、珍しくキラーが転んだ。
 居合わせた船員も物珍しげかつ心配そうに見ていたが、怪我はしてないだろう。

 何故かと言えば、転んだ時におれを下敷きにしたからだ。
 おれの方はと言うと後ろ向きに転んだんでぶつけた背中が痛い。
 とはいえコートの厚みのおかげで衝撃はだいぶ吸収されてたが。

「なにすんだよ」
「す、すまない!」

 そう言いながら退くと、キラーはおれの横に座ってあわてた様子で「大丈夫か」だの「船医を呼ぼうか」だの言ってきた。
 通り過ぎる船員は「大丈夫だろー」などと言っていたが、キラーの心配はそれくらいでは解消されないようだった。

 見上げるってのも面白いもんだなと思いながら寝転がっていると、いよいよキラーが船医を呼びに立ち上がろうとした。

「待てよ」

 そう呼び止めながら、おれは起き上がりキラーの腕をつかんだ。何でもないのに呼ばれても困る。

「大丈夫なのか……?」
「ああ……」

 おれは不意に思い立って、そのままキラーを押し倒した。見上げるのも面白いが、やっぱりこっちの方が落ち着く。

「仕返しだ」

 おれがそういうと、キラーは苦笑いするような口調でと言った。

「その様子なら大丈夫そうだな、よかった」

 一切慌てる様子のないキラーに、おれは少し不満を覚えた。ヤることはヤってるんだし、もう少し意識してくれたったいいんじゃないだろうか。
 おれは思わずつぶやいた。

「お前……少しは慌てろよ」
「? 十分慌てていたんだが……」
「そっちじゃねェよ……」

 どうしてコイツはこういう話になるとこんなに鈍いのか。
 いっそワザとなんじゃねェだろうか。
 そんな愚痴を脳内で呟いていると、キラーが小声で言った。

「……こうしていると、何となく落ち着く」
「そうか、それじゃ仕返しにならねェなぁ?」

 おれはそう言いながら、照れ隠しにキラーの上から退いた。
 表情は取り繕えても脈まで操れる自信はなかったからだ。

「おら、お前もとっとと立てよ!」
「……ああ」

 少し残念そうにしながらキラーが立ち上がると、そのあたりの一部始終を見ていた船員が「相変わらず仲良いっすねぇ」と話しかけてきた。
 おれはそれに「まァな」と答えてから、キラーに言った。

「今度は転ぶなよ」
「ああ、気を付ける」

 おれの言葉に、キラーは嬉しそうにそう答えた。




---------------------------------------------------------------

 転んじゃうキラーとか
 キッドを心配しすぎるキラーとか
 恋愛系のドキドキ感に鈍いキラーとか
 キッドに心配してもらえると喜ぶキラーを妄想したら
 私のハートがどうしようもなく滾ってこのザマだよ!
 
 キッドはそんなキラーに心を振り回されればいいのです。
 良い意味で。





良いなと思った方は是非→ 拍手


リストへ戻る
TOPへ戻る
[ 9/37 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]




「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -