ペンキラ


※現パロ同居ネタ


 目覚ましの音で目を覚ますと、ペンギンがおれの上にのしかかっていた。 

「……」
「おはよう、キラー」

 目があうと、ペンギンは楽しそうな様子でそう言って、ついでに目覚ましを止めた。

「何で乗っかってるんだ……?」
「寝起きドッキリ的な」

 いつも一緒に寝ているのだからドッキリも何もないと思うのだが。

「どいてくれ……起きられない」
「良いだろー、今日休みだし」

 幸いにも、体格はおれの方が良いのでさほど辛くはないが、このままでは色々と困る。
 とはいえ、無理にどかしてベッドから落とすと頭を打ちかねないので、おれは説得を試みることにした。

「確かに休みだが、朝食も作りたいし買い物も行かないと」
「買い物は午後行けばいいって」
「朝食は」
「……」

 答えに詰まりつつも未だにどこうとしないペンギンに少しイラっとする。

 こうなったら落としてでもどかしてしまおうか、と思ったその時、ペンギンが首もとにキスをしてきた。
 突然の行動に驚いていると、ペンギンがもう一度しようとしたので流されまいと慌てて制止する。

「まて、時と場合ってものが……!」
「いいじゃんかー」

 ペンギンが不平を漏らしながらおれに抱きつく。
 いよいよどかせなくなってしまったなと困っていると、タイミングよく呼び鈴の鳴る音がした。

「ほら、どいてくれ」
「わかったよ……」

 ペンギンが残念そうにどいて、ようやくベッドから解放される。

 2回目の呼び鈴が鳴った後に扉を開けると、そこにはローがいた。
 ペンギンの大学および職場の先輩で、おれの友人にあたる人物だ。

 普段は仕事終わりに来ることが多いため、この時間に来るのは珍しい。

「ああ、ローか。待たせて悪かった」
「……邪魔したか?」

 ローがそう言ったのは、多分さっきペンギンが首につけた痕のせいだろう。
 それと、服装も寝た時のままだ。

「いや、むしろ助かった……それで、どうした?」
「ああ、ペンギンが欲しがってた本を読み終えたんで、届けに来た」
「そうか、じゃあ呼んで……」

 そこまで言って、そう言えばアイツ今上半身裸だったなと思い出す。
 さすがにその状態で会わせるのも、何か着る間待たせるのも申しわけない。

「……すまない、今は無理だから代わりに渡しておく」
「ああ、そうだろうと思った」

 ローはカバンから取り出した本をおれに手渡しながらそう言った。
 どうやら仕事関係の本らしい。

「わるいな……」

 おれがそう言いながら受け取ると、ローは「ペンギンによろしく」と言って立ち去った。
 おれは部屋に戻ると本を机に置いて、布団にもぐりこんで暖をとるペンギンに声をかけた。

「ローが本を持ってきた。後でお礼言いに行くんだぞ?」
「まじで……!?」

 焦った様子でペンギンが飛び起きる。

「休みだからってダラダラしてるからだ」
「うう……後で謝んないとなぁ……」

 別に怒ってはいなかったが、この際だから黙っておこう。
 今回痛い目をみれば今後は休みでもちゃんとしてくれるかもしれない。

 おれはひとまずペンギンは放置したまま朝食を作ることにした。


   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 朝食を作り終わった頃にはペンギンも立ち直っており、おれ達はテレビをつけながら他愛もない会話をした。
 しばらくしてテレビの話題が桜の開花の話題に移り、こちらの話題も自然とそれに同調する。

「桜かぁ……去年は見に行けなかったな、結局」
「天候が荒れていたからな」

 外に出る用事のついでに眺める事はあったが、去年は風やら雨やらのせいで、二人で見に行く前に散ってしまっていた。
 そんなことを思い返していると、ペンギンが提案してきた。

「今年は行ってみようか? 近所の公園にでも」
「それなら、次の休みに行こうか」

 予報士が色々と説明しながら指すモニターによれば、このあたりで満開になるのは1週間後らしいから丁度いい。

「休みならちょっと遠出する?」
「それもいいな。でも、ちゃんと起きるんだぞ」
「オッケー」

 軽い調子でそう返すペンギンに、どうやら今朝の事は懲りてないみたいだなと少し呆れた。
 だが、楽しそうなので小言で水を差すのはやめることにする。
 今日も起きてはいたのだし、予定さえあれば大丈夫だろう。

 そんなことを考えていると、ペンギンが言った。

「晴れるといいなぁ」
「そうだな」

 はしゃぐペンギンに苦笑しながら、おれはそう返した。



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 リクエスト企画にてね太郎さんより頂いたリクエストでした!

 『ペンキラでほのぼの』というリクエストなので、現パロ同棲CPな二人の日常風景を描いてみました!
 ヘタレ気味×しっかり者って何か和みます。
 
 リクエストありがとうございました!

良いなと思った方は是非→ 拍手

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