ペン→キラ→キド


※現パロ


 ペンギンとキラーの二人は、大っぴらではないにしろ知人から見たら疑う余地なく両想いの恋人同士。
 ペンギンも、キラーとはとても上手くいっていると思っている。
 彼が疑問を感じるのは、いまだにデートの最中でもキラーから名前を呼んでもらえない事だけだった。



「キラー」
「なんだ?」
「今度泊まりに来ないか?」

 その提案に一瞬悩んだようなそぶりを見せた後、キラーは「ごめん」と返した。

「何で?」
「キッドの夕飯の事もあるし、そもそも外泊は苦手で」
「そっか、なら仕方ないな」

 キラーがキッドと同居している事について、ペンギンは不快感を持ってはいなかった。
 自分と付き合う前からそうだったし、二人はただの友人だから当然だ。

「じゃあ、また日曜日にデートしたいな……いい?」
「もちろん。ちゃんと説明しておくな」

 言うまでもなく、キッドに。という意味だ。

「それじゃ、またな。行く場所決まったらメールする」
「ああ、わかった。またな」

 笑顔でそう言ってから、キラーはちょうど到着した電車に乗った。



 キラーが家に帰ると、キッドはすでに帰宅してテレビを見ていた。

「ただいま」
「おう、おかえり」

 帰宅途中に買った物を机に置いて、流しで手を洗うと、夕飯の支度を始めた。

「今日な、今度泊まりにこないかと言われたんだ」
「で、どうしたんだよ?」
「断った。まだ早い気がするからな」
「そうか?」

 二人が付き合い始めてから、そろそろ一年半が経とうとしていた。

「ああ。それに、お前との時間も大事だからな」
「別に気にしねェよ」
「いや、おれが気になるんだ」

 キラーがそう言うと、キッドは呆れたようにため息をついた。
 彼は彼なりに、キラーの事が心配なのだ。
 無下にし過ぎて相手から恨まれたりはしないのか、と。

「……お前の恋人、毎度思うが気の毒だな」
「そうかな」

 今まで何人かと付き合った経験があったが、結局キラーがキッドばかり優先するために別れてしまっていた。
 一年半も続いたのは、ペンギンが初めてなのだ。

「またフラれたりすんなよ」

 今まで、恋人と別れる度キッドに泣き付いていた。
 でも、実際のところキラーはあまり傷ついていなかった。

 誰と別れようが、一番好きな相手にフラれる事はないのだから。

 今まで他人と付き合っていた理由が現実味を帯びた空想をするためだという事や、その日のデート内容を日記に書くとき相手の名前をキッドにしていた事さえ隠し通せれば、それでいいとキラーは思っていた。

「ちゃんと理解してくれる相手だから、大丈夫だ」
「ならいいんだが」
「ああ……今のままの関係が続けば良いと思ってる」

 キラーが手を止めて呟いた言葉は、紛れもなく、本心だった。



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楠さんより1周年企画のリクエストです!
【ヤンデレ、鬱】というお題だったので、
軽くヤンデレなキラーと誰も幸せにならないそこはかとなく鬱な感じを盛り込んでみました。


キッドを殺っちゃったZE☆なヤンデレペンギンに発展するかどうかは不明だけど、
発展したら、それはとっても鬱だなって。

きっかけは、寂しくてストーカー開花したペンギンが二人の留守中に家に忍び込み、キラーの日記を発見して云々
キッドさえいなければ云々
そんな話を読んでみたい今日この頃です。

何はともあれリクエストありがとうございました!
これからもよろしくお願いします。

良いなと思った方は是非→ 拍手

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