006
揃いの品を身につけているのは、自分に対する牽制なのだろうな、とローは思った。
ある日を境に、キッドとキラーは同じデザインのリストバンドを着け始めた。
キッドは水色の、キラーは赤色の、同じ刺繍の入ったリストバンドだ。
とはいて、二人とも学部が違うから、気付いているのは高校からの知り合いであるローくらいだった。
「前にも増して仲が良いな」
からかうようにローが言うと、キラーは、携帯を眺めながら、そうだな、とだけ答えた。
あまり面白く無く、ローはさらに言葉を続ける。
「ああ、まるで恋人みたいだ」
「……そんなんじゃない」
そう答えながらキラーが軽くローをにらんだ。
そして、これ以上話しかけるな、とでも言いたげにフイと視線を手元に戻した。
少し顔が赤かったが、それが怒りのせいなのか何なのかは、よくわからなかった。
「ユースタス屋からのメールでも待ってるのか?」
「……」
キラーは答えずに、ついに椅子から立ち上がってどこかへ行ってしまった。
ローは、一瞬付きまとってみようかと思ったが、やはりやめた。
これ以上嫌がられても良い事は無い。
「うらやましいなぁ……ユースタス屋」
そう言って、ローは、ハァとため息をついた。
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