ローキラ
帰るには外が暗過ぎるから、という理由でキラーはローの船に泊まることになった。
もちろん、キラーがキッドに連絡して了承は得ている。
「ロー、なんだかすまない」
「別に構わないって。そもそも、来てくれって言ったのはこっちだしな」
無論、数時間前、明るいうちに帰ろうとしたキラーを引き止めたのもローである。
「ああ、そうだ、キラー屋」
「ん?」
「客用のベッドがないから、今日はおれと一緒に寝よう」
ローがキラーにそう言うと、キラーはちょっと考えてから、いいぞ、と頷いた。
あまりにもあっさり承諾され、ローは逆に戸惑ってしまった。
「え? 本当にか?」
「ああ、今日は寒いから」
キラーはそう言ったが、ローはいまいちピンと来なかった。と言うのも、ローはキラーが言うような寒さを感じていなかったのだ。
そんなローの思考を感じとったのか、キラーは不満そうに言った。
「本当に寒いんだ……ほら」
言いながらキラーがローの腕に触れると、ローはキラーの指先から冷たさを感じた。
「あー……確かに冷たいな」
「だろう?」
だから温めてくれ、とキラーはローに頼んだ。
ローは、一瞬『妙な事』を考えたが、当初の予定通り添い寝だけに止めよう、と心に決めた。
「……キラー屋」
「なんだ?」
「今日は添い寝までだよな?」
「……それ以上って、何だ」
キラーが怪訝そうな様子で訊いてきたが、ローは軽くはぐらかして、キラーを寝室まで誘導した。
有機暖房
二人で毛布に潜ると、ローはキラーの背中に腕を回した。
だが、キラーは不服そうにこう言った。
「ロー、背中より手が冷たいんだ」
「そうだったな、うん。忘れてた」
ローはそう言って、キラーの冷えた両手の指先を自身の手で包み込むように握った。
そこでようやくキラーが満足そうな様子で言った。
「うん……温かい」
「そりゃよかった」
顔が見られる分、抱きしめるより
こっちのほうがおいしいかもしれない、とローは思った。そして、これくらいは良いよな、と自分に言い聞かせ、キラーの唇に軽く口付けた。
「……っ」
キラーは、ローの行動に赤面したが、どうやら怒ってはいないようだった。
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テーマ募集にて、タツキ様にご提案いただきました。
『テーマ:寒い夜/ローキラ』です。
据え膳まえにして一切何もしないローはローじゃない。と思い、軽くキスさせました。ローにしては紳士的。
良いなと思った方は是非→ 拍手
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