キドキラ


 事件は、とある夏島で起こった。

 その日、船員の一人が、買い出しの土産にと、アイスを買ってきた。
 そのアイスは、いわゆる棒アイス。しかも、ミルク味だった事が、事態を悪化させたと言えなくもない。


「これ、どうやって食べるんだ?」
「ん? 食ったことねェのか?」

 キッドの質問に、キラーが頷いた。
 なので、キッドは、とりあえず答えることにした。

「そりゃ、アレだろ。かじるか、舐めるか……まあ、あんまがっつくなよ、頭痛くなっから」
「ああ」

 キラーは返事をすると、アイスに舌をつけた。
 とりあえず、舐める事にしたらしい。

 しばらくすると、当然のことだが、アイスの表面が溶けて手の方へ滴れてきた。

「あっ」

 キラーはあわてて、滴れてきたアイスを舐めあげた。
 その様子をみた船員が、キラーに言った。

「いっそ、くわえたら良いんじゃないか?」
「ん、そうだな」

 そう答えて、キラーはアイスを口にくわえた。
 その時、うっかり口の端から溶けたアイスが一筋流れた。

「……!」

 くわえているのは棒状のもの……そして、口の端から顎に一筋伝う白い半透明の液体。

 その時だった。キッドの中の妄想が爆発したのは。

 妄想の内容については、あえて触れないが、しばらくしてキッドの股間が膨らんだのを、船員の一人が確認した。

「頭……」
「言うな、何も言うんじゃねェ……!」

 キラーがアイスを食べる姿を見て欲情したなどと、本人にバレたら、確実に引かれる、とキッドは思った。
 場合によっては、数日以上口をきいてもらえなくなる可能性もあり、バレるわけにはいかなかった。

「頭……部屋で休んできたらどうですか」
「おう……」

 そう言って、キッドが部屋に戻ろうとしたとき、キラーがそれに気が付いた。

「キッド、どうしたんだ?」
「い、いや、ちょっと腹が冷えた……!」
「そうか。なら、部屋まで付き添うぞ」

 キラーの申し出は、キッドが本当に腹痛で苦しんでいたなら、とてもありがたいものだった。
 だが、今はまずい。

「アイスも食べ終わったし……」
「いいからほっとけ……!」

 焦りからつい強い口調でそう言ってしまい、ヤバイ、とキッドが思った時には、キラーは悲しそうにうつむいてしまっていた。

「そんな言い方……ないじゃないか……! キッドの馬鹿!」

 そう言った後、キラーは部屋にこもってしまった。


会話お預け二週間


 結局、別の島に着いたとき、キッドがキラーにケーキをおごり、丸く収まったらしい。





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1234HITのリクエスト。
内容:キラーの何気ない仕草にムラッときたキッド
……何気……ない……?

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