017


「……やっぱり、か」

 ローがキラーの部屋に行った時には、もう彼は死んでいた。
 首には何度か突き刺したような傷があり、傍には血塗れのカッターナイフが落ちていた。

 ローは、少し自嘲気味に微笑むと、キラーのそばに屈んだ。

「残念だったな、ユースタス屋。結局お前の気持ちも、おれの好意も、キラー屋には伝わらなかった」

 どちらか一方でも伝わっていれば、キラーは死ななかったはずだ、とローは思った。

 まあ、それは、キッドがキラーの死を望んでいなかった場合の話だが。

「さて……と」

 ローは、血塗れのカッターナイフを拾い上げると、それを使って、同じように血塗れのキラーの髪を20センチ程切りとった。
 そのあと、刃をしまい、ハンカチでそれらを包んで自分のカバンの中に入れた。
 
「お守りに持っておくよ、キラー屋」

 本当は、もっと欲しかったけど。
 そう呟いたあと、ローはキラーの居た部屋を後にした。

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