016
船が島から離れるにつれ、おれの心は重くなっていった。
「……」
あそこでキッドを殺さなければ、今頃キッドも一緒に居たのだろう。
それを考えると、一層深い後悔の念が襲ってきて、胸が押しつぶされそうになる。
「キッド……」
もう、耐えられる気がしない。
島にいる間と、今では、意識が違いすぎて。
島では、仕方なかった、と多少なりとも割り切れる状況だった。
でも、今になって冷静に考えれば、おれのやったことはものすごく酷い事で、このまま知らん顔をして過ごすことなんて到底できない。
どうしようかと考えたとき、おれが考え付いたのは、ある一つの行動だった。
おれは、手元に帰ってきた荷物を開くと、成績表や教科書を退けて、筆箱を手に取った。
そして、それを開くと、カッターナイフを取り出した。
「……」
業務用のモノだから、よっぽど下手に扱わなければ、折れる事もないだろう。
おれは震える手で刃を繰り出し、自分の首に当てた。
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