002


 この島の真ん中には、塔がある。
 その中にある像を壊すか、もしくは、全員が殺しあって、最後の一人になれば、このゲームは終了する。

 それがこのゲームのルールだそうだ。

 ゲームの目的は、なんとなくわかっていた。

 あの赤犬のことだから、不良を一掃しようとか考えてるんだろう。
 だが、こんなことをすりゃ一番悪ィやつが残るって理論になる。

 ――いや、そうなったらそいつを殺すのか。

 じゃなきゃ、一日一人も殺されなかった場合、成績最下位から順に犠牲になること、なんてルールはつけるはずがねェ。

 とりあえず、この理屈でいけば、ダチの中で一番最初に死ぬのはルフィだ。あいつ、アホだから。
 それで、次は、授業抜け出してるような、たとえばおれや、ゾロのやつが危ない。

 とはいえ、おれらより遥かに成績悪い奴もいるから、数日は平気なはずだ。

 それにキラーに至っては、あれで結構真面目なやつだから、逃げ切ればかなり最後まで生き残れるだろう。

 ただ心配なのは、集まっているなかに荒っぽい奴もかなりいるから、これを好機、と殺しに走りかねない。

「……とりあえず、キラー探すか」

 そう呟いて、林の中を歩き続けていると、一箇所開けた場所を発見した。
 そして、そこでキラーも発見した。

 ――無事だったみてェだな。

 ホッとしたおれは、とりあえず話しかけようとキラーのそばへ歩いて行った。
 そして、その肩を軽くたたいて、声をかけようとした。

「キr」

 その時、首に何かが刺さって、言葉を遮られた。
 それがナイフだと気がついたときには、首から血が噴き出し、おれはほどなくして地面に倒れた。

 何とか目線を上に向け、おれを刺した相手を確認すると、それはキラーだった。
 そして、キラーも、刺した相手がおれだとようやく気がついたらしく、茫然としながら小さく声をあげた。

 ――なんて顔してんだよ。お前は間違っちゃいねェよ。
 こんな場所で、背後から声掛けられたら、そりゃ刺すよな。

 だから
 気にすんな――

 そう言ってやりたいのに、おれの喉は上手く空気を送り出せず、口を動かす事しかできなかった。

 一体キラーにはおれがなんて言ったように見えたのか。

 それはわからなかったが、キラーはそのままガクリと座り込んでしまった。

 そして、その時の、今にも壊れてしまいそうな表情が、おれが最後に見たキラーの表情だった。

 目の前が暗くなり、意識を失う寸前、おれはキラーが何か叫んだのを聞いた。

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