001
以前、キラーは、自害しようとした事がある。
それは、キッドの頭が重症を負って、死にかけた時。
頭が眠るその傍に、キラーがナイフを持って立っているのを、様子を見に来た船医が発見した。
初め船医は、キラーが頭に止めを刺そうとしてるのだ、と思ったらしいが、実際は違った。
頭が目覚めた後、おれがその事を話したら、頭はこう言った。
「そりゃ、あいつならそうするだろ」
さも当然、といった様子の頭に、おれは驚いた。
おれ達は、まさかキラーがあんな風に行動するなんて、思ってもみなかったし、わかっていたら見張って、止めていた。
「あいつは昔から、そうだからな」
頭の話によれば、キラーは、父親が死んだときにも、母親が死んだときにも、自ら命を絶とうとしたらしい。
その度、キラーの近くにいる人間が、それを止めた。
「あいつは、頼るものが無くなると、死のうとする」
「……」
「で、死んだ奴の代わりに、それを止めたやつに頼りだす」
そして頭は、笑いながらこう言った。
「……だがな、今回おれは死んでねェから、まだあいつはおれのモノだ」
その時おれは、共依存というのは、こういう事を言うのだ、と理解した。
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