002
触れた生き物が全て死んでしまうとしたらどうする、とホーキンスに訊いてみた。
「猫にも触れない……か。それは遠慮したい」
「なら、猫以外の生き物に限るとしよう」
その提案に、少し考えてから、彼は答えた。
「それも嫌だ……」
「では、触れたら死ぬのは人間だけ……ならどうだ?」
その質問に、一瞬だけ考えて、彼は答えた。
「それなら、構わない」
その時、彼は他人との接触に興味がないのだと思い知らされた気がした。
「ただ……」
彼は、おれの手をつかみ、言った。
「お前に触れなくなるのは寂しい」
「……それは、光栄だ」
選んでもらえた幸せが、己の心の中を満たしていったのは、決して気のせいではないだろう。
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