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 触れた生き物が全て死んでしまうとしたらどうする、とホーキンスに訊いてみた。

「猫にも触れない……か。それは遠慮したい」
「なら、猫以外の生き物に限るとしよう」

 その提案に、少し考えてから、彼は答えた。

「それも嫌だ……」
「では、触れたら死ぬのは人間だけ……ならどうだ?」

 その質問に、一瞬だけ考えて、彼は答えた。

「それなら、構わない」

 その時、彼は他人との接触に興味がないのだと思い知らされた気がした。

「ただ……」

 彼は、おれの手をつかみ、言った。

「お前に触れなくなるのは寂しい」
「……それは、光栄だ」

 選んでもらえた幸せが、己の心の中を満たしていったのは、決して気のせいではないだろう。

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