004


「好きだ、キラー」

 そう言って、キッドはキラーの額にキスをした。

「本当に愛してる」

 キッドが髪を撫でると、キラーが微笑んだ……ように見えた。そんなはずは無いのに。

「だから、なぁ、キラー……こんなとこで死ぬなよ」

 力の入らない重いキラーの躰が、キッドの腕を通して、認めたくない現実を叩きつける。

 いくら名前を呼んでも開かれない目に、恒常性を失い冷たくなった躰。
 どちらも、示すのは残酷な現実だった。

「なぁ、キラー……」

 これは夢だよな?






「頭、起きないな……」
「うなされているようだし……大丈夫だろうか?」

 船員二人が困っていると、扉が開いてキラーが入ってきた。

「キッド、どうだ?」
「それがうなされてるみたいで……まだ目覚めないし」
「……キッド、朝だぞ、起きろ」
「いや、今は夜……」
「……そうだった。ついクセで」

 指摘を受けたキラーが、再度キッドを起こそうとしたとき、キッドが寝言でこう言った。

「キラー……死ぬなよ……」
「……」
「(あ、ヤバイ)」

 キラーは、その場にあった使用済みの氷嚢(※水袋)をキッドの頭に叩きつけた。
 袋が割れ、中の水がキッドの髪やら顔を濡らした。

「ちょ、キラー、怪我人(一応)になんて事を……」
「だって……」

 キラーが何か言おうとしたとき、キッドが少しうめいてから、目を覚ました。

「ってーな……なにしや、が……」

 キッドがキラーを見て一瞬驚いたように目を見開く。

「……勝手に殺すな、バカ」
「……あぁ……夢か、あれ……」
「当たり前だ。お前があんな事をしたおかげで、おれは怪我一つないんだから」

 明らかに怒っているキラーに、キッドは倒れる直前やったことを思い返して、反論した。

「あの時は、お前が食らったら死んでただろ。だから良いんだよ」
「そういうものか?」

 少し不満気にそう返すキラー。
「そういうもんだ……それに」

 キッドは、不意にキラーを引き寄せると、他には聞こえないように耳元で言った。

「おれはお前がいねェと駄目なんだよ」

 そのまま、キッドは軽くキスをして、愛してるぜ、と言った。

「……おれもだ」

 照れた様子で、キラーはキッドにそう言った。




 キッド達の様子を見ていた船員二人は、全く同じ事を考えていた。

「(居心地悪いな……)」

「部屋、帰るか」
「アア」

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