-Real Time-
【キラーお祝い話】
2013/02/02 00:00
短文ですがキドキラ
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連れて行きたい所がある。
そうキッドに言われてついて行くと、停泊している町から少し離れた小高い丘の上にたどりついた。
時刻は夕方、丘から見える海と付近の島が朱色に染まっていく景色はとても美しいものだった。
コイツにも風景を楽しむ情緒があったのか、などと考えているとキッドが言った。
「どうせお前、珍しいとか思ってんだろ」
「良くわかったな」
「お前の考えぐらいわかるっての……」
不満そうにそう言った後、キッドがコートから箱を取り出した。
四角い小さな箱で、黒い紙と細身の赤いリボンでラッピングされていた。
その箱をおれに差し出しながらキッドが言う。
「これ、やるよ」
「ああ……ありがとう」
そう言えば、今日はおれの誕生日だった。
船の中でそのことを知っているのはキッドだけだから、毎回キッドに言われるまでついつい忘れがちになってしまう。
「今年はせっかく陸だったからな……」
「来てからいつも帰りが遅かったの、この為か?」
「……おう」
そう答えて照れたように頬を掻くキッドを見ながら、随分気遣い出来るようになったんだなと感心してしまった。
最初に会った頃なんて、酒でも飲むぞとか言って適当に祝いの言葉をかけたら、何かしら渡して、後はいつもの酒盛りという状況だったのに。
もちろんそれでも、覚えてくれているだけで嬉しかったのだが。
「……嬉しいぞ、すごく」
「そうか……なら色々と調べた甲斐があったぜ」
嬉しそうにそう言ったキッドを、おれは思わず抱きしめた。
キッドもおれの背中に腕を回し、そのまま抱き合う形になった。
「……いつもありがとうな、キラー」
「ああ……ありがとう」
そう言い合った後、キッドが腕を離したためおれも腕をほどいた。
そのころには夕日もだいぶ落ち、反対側の空が暗くなってきていた。
「……日が落ちきる前に帰るか」
「そうだな、今日はありがとう」
「おう……来年も楽しみにしてろよ!」
そう言って笑ったキッドの言葉が、おれにとって一番のプレゼントだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
船に帰ってから、おれは自室でキッドからのプレゼントを開けてみることにした。
例年の傾向からすれば、多分今年も何かアクセサリーだろう。
どれも戦いで破損したりと、三月過ぎて無事だったことが無いのだが、毎年そうだ。
ラッピングをはずして箱を開けると、案の定アクセサリーだった。
だが、いつもと違ったのはそれが指輪だった事だ。
「……」
確かにこれなら武器の形状的に壊れることは少ないだろう。
だがしかし、いくら形が男向けの武骨なものにしたって、一応恋人なんだし指輪を渡すタイミングとしては何か違う。
いや、男同士でそんな事を言っても仕方ないのだが。
「やはりキッドはキッドか……」
おれはぼやきながら、よりにもよって左手の薬指にぴったりの指輪を指にはめた。
それにしても、俺自身ですらサイズを知らなかったのに、キッドはどうやって選んだんだろうか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
夕食の時間が近づき食堂へ向かうと、少し早目の時間だったにも関わらずキッドがいた。
おれの姿に気づいたキッドは、おれの左手をみて言った。
「早速つけたか」
「ああ」
「ぴったりだったろ」
キッドの言葉に指の位置は意図的だったのかと驚いていると、キッドが自分の左手をおれの方へ差し出した。
「お前はおれの、おれはお前の物ってことだ」
そう言ったキッドの薬指にも、おれがもらったのと同じデザインの指輪がはめられていた
つまり、そういうつもりだったという事だ。
「普通、こういうの……何も言わずに渡さないだろ……」
「そうか? 悪ィな、驚かせようと思った」
照れ隠しについた悪態にそう返され、おれは何も言えなかった。
一瞬黙って見つめ合った後、おれはキッドの左手を自分の左手で握手をするように掴んだ。
指輪同士がぶつかり軽い音を立てる。
「改めて……これからよろしくな」
おれが照れながらそう言うと、キッドは余裕たっぷりの笑顔を浮かべて言った。
「おう、任せろ」
その言葉の後、キッドはおれの手を引っ張って引き寄せ、マスクの上……頬のあたりにキスをした。
「……!」
「誓いの口づけの方はまた“後で”な」
唇をそっと離しておれのマスクについた口紅を拭い取りながら、キッドは意味深にそう告げた。
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“後で”何をしたかってそりゃナニをしたんですよ。
誓いのキスの後は新婚初夜ですよ。
キッドの誕生日は船員総出で祝うからどうにもラブラブな感じにもって行き辛いけど、夜にキラーと二人で酒飲んだりするのが楽しいとか思ってたら萌えます。
お互いが特別な存在とか滾るね。
ヴェルタースオリジナルを贈り合う仲だね。何か違うね。
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