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「ほんとに悪かったって、な?」

「知らない!」

「トリシャ…もう許してくれよ」

「い・や!」

「頼むよ〜。この通りさ」

先程から言い争っている…と言うよりは赤髪の少年が黒髪の少女に謝っている訳だが…二人の姿はもう見慣れたもので、止めようとする者はいない。そもそもの事の発端は少し前にさかのぼる―


ここ、ホグワーツ魔法魔術学校のグリフィンドール寮前の石壁に身を預け、誰かを待っている様子のトリシャ。待っているというよりも待たされているといった方が正確なのだが…



(ったく毎度毎度、遅れてくるなんて!)



そう、彼女は赤毛で有名なチャーリー・ウィーズリーを待っているのである…が。



(今日と言う今日は許さないんだから!)



そして待つこと1時間。待ち人は悠々と歩いてきた。

それも見知らぬ女を連れて。

その光景を見た瞬間、トリシャは自分の中で確かに何かが切れる音を聞いた。意を決した様にトリシャはずんずんと二人に近づいていく。

トリシャに気付いたチャーリーが彼女に笑いかけ、手をふったがそんな行動は彼女の怒りに更に油を注ぐだけだった。



「チャーリー!」



はんば叫ぶようにトリシャがチャーリーの名を呼び、そこまで来て初めてチャーリーは自分が何かやってはいけないことをして、それが原因でトリシャの怒りが頂点に達していることに気付いた。



「トリシャこれは」

「何?今更言い訳なんかするわけ?」



冷たく突き放す彼女にチャーリーは事の経緯を説明した。

―…


「つまり何?ドラゴンの本に没頭していて時間を過ぎちゃって、まだ読み終わってない本を運ぶのをその子に手伝ってもらってたって?」



そうなんだ、ごめんね?と笑うチャーリー。


ここまでが事の起こった経緯だが、いつもと代わり大して反省してなさそうな彼に怒りを通り越して呆れてきた。何やってんだ自分。
ハァーとトリシャはひとつ大きなため息をついた。
そして勢いよく振り向いて今や一人で全ての本を抱えているチャーリーを見やった。



(確かに重そうだけどさ、…私を頼ってくれたってバチは当たらないでしょ)


「私とドラゴン、どっちが大切なのよ!」



ぎろりと自分を睨むトリシャにチャーリーは焦った。ドラゴンよりも彼女の方が何倍も危険だと。あのブルガリアホーンテールよりも。


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(そりゃどっちも大切だよ)
(はあ?!あんた自分が何言ってるかわかってんの?例え嘘でもトリシャって言うでしょ、普通)

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