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壊れる



狂気の愛情を向ける少女。狂気の愛情を受け取る少年。
苦しそうに歪む少女の顔を、少年は愛しそうに見つめる。
少年も少女も、どちらも狂っていた。


「好きなの。好きなの。あなた以外いらないの。ねえ、私のこと、好きだよね?ねえ、ねえ」


自分に馬乗りになり首を絞める少女を見て、リドルは薄く笑った。この少女は、トリシャは、狂っている。
――だからこそ、愛しいのだが。


「ねえ、なんで?なんであんな奴ら相手にするの?私あなたの言う通りにしてるのよ?リドル意外とはしゃべってないわ。視界にすら入れてないわ。だってあんな奴ら、見たり聞いたりしたら腐ってしまうもの。だからあなた以外いらないのよ。リドルだってそうでしょ?ねえ、リドル。リドル。リドル」

「どうしたんだい、トリシャ?」

「だって私以外の子としゃべっていたわ。私見たのよ。あなた、私以外の人と話していた。それも女の子。ねえどうして?なんでこんなことするの?私だけいればいいじゃない」

リドルが誰かとしゃべると、――特に女子と――、トリシャはこうなる。
秘密の部屋で暮らしている彼女は、僕をいつも冷たい床に押し倒して、僕の上に馬乗りになって、僕の首を絞める。
その行動すべてが愛しい。リドルに憧れや愛情を持って接する女学生は掃いて捨てるほどいる。けれど、こんなむき出しの愛情を向けてくるのはトリシャだけだ。

リドルはそっとトリシャの首筋に触れた。少し力の緩んだトリシャの手をゆっくりともう片方の手で捕まえる。そして噛みつくようなキスをした。

彼女が愛しくてたまらない。漆黒の髪も、金色に光る瞳も、病的なほど白い手足も、思わず殺したくなるぐらいそそられるその表情も、その歪んだ愛情も、すべて。

彼女に狂った愛を向けたのも、リドル。その愛を教えたのも、リドル。それを望んだのも、リドル。


トリシャ、トリシャ、トリシャ、トリシャ

だって君が愛しくてたまらない。
君は美しい。
僕に溺れて壊れていく君が、何よりも美しくて愛しい。


少年も少女も、どちらも壊れていた。






壊れる
(私の為だけに生きて?)
(僕の為だけに死んで?)



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