触れる
バチバチっと、放電のような音が響いた。見れば、銀髪がキラキラ、反射して輝いているようで綺麗だ。
未だ手に電流をパチパチいわせながら、少年はどう?と私に聞いた。
どう、とは私にどんな返事を求めているのだろうか。答えを渋る私に、少年は拗ねたような声を出した。
「"すごーい!"とか言っても良いんじゃねえの?」
「いや、すごそうだとは思うし、実際すごいとは思うけど、」
「けどなんだよ」
「……痛くない?それ」
べつに、馴れれば痛みも我慢出来ねぇほどじゃねぇし、と答える彼。確かに馴れてしまえば耐えれないものでもない。だがそうだとしても、さすがゾルティッククオリティだ。それに念を習得するスピードも速い。
イルミが過保護になるのもわかる気がする。
「じゃあ花の能力も見せろよ」
「え……なんで?」
「だって俺は見せたんだぜ?これで俺が花の能力知らないとか不公平だろ」
「キルア…念能力はそんなほいほい人に見せるもんじゃないよ?」
「俺は花の敵にまわるつもりはねぇし、花もこれから俺たちとG.I.に行くんだったら知っといた方がいいだろ?」
まあ、そうなんだけどね…。元々言いにくかったけど、キルアの能力知ってからは余計言いにくいんだけど、私の能力。
あーと視線をそらす私をキルアがじーっと見る。なんだか気まずい。
ついにしびれを切らしたのか、キルアが立ったのが気配でわかる。私の目の前ででぴたりと止まったキルア。当然、足音はしない。
「花……ってうお!?」
ピリッという音と共に、私に手を伸ばしたキルアと私の間に静電気が走った。見上げれば、自分の手を驚いたように見つめるキルアの顔。
少し考えるような素振りを見せた後、なにかわかったように私を見る。キルアは冴えている。もしかしたら、今の一瞬だけで私の能力がわかったのかもしれない。
「…なあ、花。もしかして花の能力って」
「うん、たぶんキルアが考えてるもので合ってると思うよ」
「マジかよ」
「マジで」
「ってことは、もうこんなことも出来ないわけ?」
「言ってる端から…」
言い終わらないうちに、私を抱きしめるキルア。ビリビリいっていたし、そのぶん痛みが走る。けれどそれもほんの少し。変に動かなければこれ以上放電はしない。
普通の静電気と違い、オーラを練っている間はオーラが底をつかない限り、常に充電満タンモードだ。一回放電したからといって、油断は出来ない。
触ろうとする度に放電するってこと、わかってるの?まあ念を解けば良いだけなんだけど…
試しに纒を解こうとしたらキルアの腕の力が強くなった。
「俺と同じ能力ってことは、これくらいの痛み、どってことないんだろ?」
触れる
(……キルア、さすがに苦しい)
(わりぃわりぃ)
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