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逃げる


私、桂木花は攘夷志士だ。父も母も愛国心溢れる人で、毎日のように将来はお国の為に生きるんだぞと言われ、育った。
だからかもしれない。私は今まで、この国を愛し、護るために生きてきた。
突然宇宙からやって来た、天人たちから。あれよあれよというまにどこの馬骨ともわからない、異形な姿形をしたそれらに国を乗っ取られ、幕府は頭を垂れたけれど。
だから私たちが、国を護るために血を流し、戦い、殺す。この地を護るために。

けれど、どうやらその生活にも変化が訪れようとしているようで。と、言うのも、


「年貢の納め時だ!大人しくお縄に着くんだな、桂木!」


瞳孔が完全に開いているこの男、土方は真撰組の男。黒い髪に黒い瞳、黒い制服。全てが黒いこの男に会ってから、私の全てが変わった。

どうやら私は、あろうことか国を売ったこの男を好きになってしまったらしい。
ずっと、追われているうちに。毎回毎回顔を合わせる度に逃げ、追われる。向こうも調査はしっかりとしているようで、私の行動パターンから趣味、好物までとことん把握している。その上で毎回私を一番に見つけて性懲りもなく追ってくるんだから、彼もあながちまんざらでは無いのかもしれない、なんて思ったり。


「おい桂木」


噂をすればなんとやら。思わず口許に弧を描いてしまう。


「あら流石幕府の犬。鼻が利くわね」

「テンメェ……んなこと行ってられんのも今のうちだぜ」

「じゃあねぇ〜〜」

「待ちやがれ!」





逃げる
(そうすれば)
(貴方が追ってきてくれるから)



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