「……う、あ、……はい。私も会いたいですっ」
恥ずかしくて嬉しくて、いろいろな感情が私の頭の中をぐるぐると巡っていく。
それは全て嫌な感情ではなくて、あわあわと赤面しながらも雨宮先生から目を離すことはできなかった。
いつしか雨は止んでいて、星空が浮かんでいた。
雨が止んでしまったらあとは乾いていく一方なのかと思っていた。けれど、それは違うのかもしれない。
だって今の私は……カラカラに乾いているとは思えないから。
「きっと何度だって好きになっちゃいます。……逃げてなんかあげませんから、覚悟してくださいね?」
「あはは、楽しみにしてるよ」
突然、雨が降ってきて。水たまりができた。
メトロノームのように変わらない365日を過ごしてきて、そこから逃げ出したかった私に泳ぐ場所ができたのだ。
それもいつかは干上がってしまう。……けれど、水たまりがなくなってしまったとしても、顔を上げたらもっと素敵な星空が浮かんでいた、なんてこともあるのかもしれない。
雨上がりの暗い星空の下で雨宮先生の笑顔が見えて、胸の奥がぎゅーっと押し潰されるような感覚になる。
――あぁ、もう。大好きです。
雨降る図書館
(この場所で、またあなたを好きになるの)
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三題噺「水たまり・メトロノーム・365日」
2013年04月30日公開*霧島あいこ
7/7