甘い感謝を君に いきなり、私の所に一本の電話がかかってきた。 「はい、本田です。あぁ、アルフレッドさん。お久しぶりです。え、ナマエですか・・・あぁ、ナマエなら今は出雲で会議だと思います。はい。・・・え?今から来る!?」 内容はアルフレッドさんからで、今からこちらにいらっしゃるとのこと。ナマエは出雲で神様会議だったので、止めようと思ったのだが、手の中にある受話器から一定の音が連続的に流れるだけだった。 「・・・急いでナマエに知らせますか。」 そう呟いて、私は受話器を置いた。 *** 「・・・で、こっちの酒はまずまずでして・・・。」 私は心の中でいい加減にしてくれとか思いながら、頬杖をつき、手にある扇子を弄っていた。隣の男神の近況報告は長い。しかも大体は無駄話なのだ。(いつものことだが、この男には本当に呆れるばかりだ。) 隣に聞こえないようにため息をつけば、私の後ろで「ナマエ様、相当きてますよ。」とか聞こえる。(嗚呼、そんなことを言うと・・・。) 「ナマエ殿、私の話は退屈なのかな?」 隣の男神がギロリとこちらを見る。(あーあ、言わんこっちゃない。) 私は後ろの奴らを恨みながら、「あー。そうですね、簡潔にお願いしたい。」と答えた。こいつの所為で、前の会議は10月中に終わらなかったのだ。少し睨みながら答えた。(周りがざわめいたのは気にしない。) 「何だと!この私に指図をする気かっ!!」 ・・・指図なんてしてないんだが。とか思ったことを呟くと、男神は顔を真っ赤にさせて怒鳴る。 「この・・・無礼者がっ!私の剣の錆にしてくれる!!」 「全く・・・付き合っていられませんな。これなら、本田達の会議の方が楽しいという物だ。」 「なんだとっ!」 剣を抜きかかっているところを、手で押さえ元ある場所に戻したときだった。 「ナマエさま、お客様です。」 と、呼ばれ。「本田か?」と聞くと、首に振って「あるふれっどさまと仰る方です。」と答えた。 「解った。今行こう。」 そう言って立ち上がると、男神が尚も叫ぶので、私は仕方無しにこう言った。 「そこまで言うのならば、後でお相手いたしましょう。」 ゆっくりと言い放った後、出口へと歩き出した。 (後ろで拍手が聞こえたり、「ナマエ殿に喧嘩を売るとは・・・命知らずか馬鹿者ですな。」とか聞こえた。)大社の入り口の辺りに金色の髪が見えて、私はそこへフワリと降りていった。 「うぉっ!!ナマエかい。びっくりしたんだぞ、と言うか、遅いんだぞ!!」 「そう言われても・・・困るんだがな。で、どうかしたのか?」 「あ!ナマエと菊にこれを渡そうと思って。」 手を出すんだ!と言われ、半ば強制的に出した手の上にミカン三個分ほどの袋が2つ乗った。 「・・・なんだこれは。「お菓子なんだぞ!で、これが菊で、君のメッセージカードなんだぞ!」・・・何があったんだ。」 私はよく解らず首を捻っていると、アルフレッドが自分のことを自慢するように答えた。 「なんだいナマエ!今日はスウィートデーなんだぞ!」 「なんだそれ、と言うか、このお菓子類は私でも食べられるんだよな??」 袋の上から色を確かめている私を見て、「仕方がないから、地味なのを探してきたんだよ?感謝して欲しいな!」と言われる。で。話によると、どうやら今日は親切な人たちにお菓子とメッセージカードを渡す日・・・らしい。 「残念ながら、私の国にはそう言う風習は無い物だからな・・・菊にそう伝えておく。」 ちらりと菊のメッセージカードを盗み見てみると。 「・・・なんだこれ。もしかして筆記体か?」 「うん、そうだけど?」 「菊は良いかもしれないんだが、私は筆記体なんて読めないk「えー!?じゃぁ、菊に解かせるんじゃないぞ!ナマエが解くんだぞ!」 何か少しホッとした様子で私と反対方向に走っていく。 「読めたら、返事を返しにアメリカまで来てくれよ!待ってるんだぞ!」 「はぁ!?電話じゃ駄目なのか!?」 私の声はアルフレッドが乗ってきたと思われる、ヘリコプターの音にかき消されてしまった。 「全く・・・嵐のような奴だな・・・まぁ、嫌いじゃないが。」 そう呟いて、私は大社に戻っていった。 会議に戻った私にいきなりさっきの男神が謝りに来た。(別に・・・相手してやっても良かったのだが・・・) まぁ、私はあまり気にしてなかったので、適当に言っておいた。 (実は、この後菊から電話があって、「アルフレッドがそっちに行ったようです」と言われた。・・・遅い!) 今日の分は終わったとのことだったので、アルフレッドに貰った飴を食べていた。(凄く・・・まともな色をしている!!) 「ナマエ様。何ですか、それ。美味しそうですね。」 「あぁ。食べるか?・・・あ、そうだ。」 そう言って、話しかけてきた女性の神に飴を渡し、アルフレッドに貰ったカードを見せる。 これなんて書いてあると思う? ・・・菊に解かせなければいいんだろ? 「私の所は、南蛮の船がいらっしゃるので、これぐらい・・・あら。」 「何だ、解ったのか?」 「・・・凄く、情熱な方なんですのね。(大好きなんて・・・こっちが照れてしまいますわ・・・)」 「ん?んー、そうかもしれないな。(情熱的か・・・トマトのことでも書いてあったのか?)」 back ・ top |