中編:その他 | ナノ


Who ?


「ナマエ・・・おれ、日本語少し、覚えたんだ。」

菊の家に遊びに来ていた、ヘラクレスがふと、そんなことを口にした。

「それは凄いじゃないか。私は英語でも音を上げているというのに・・・日本語は難しいとアーサーから聞いたが?」
「ん、日本語難しい。でも・・・頑張ったから、聞いて欲しい。・・・ナマエ、ここ。」

そう言って、ヘラクレスはポフと隣に手を置いた。(座れ・・・と言うことか?)

***

そうして私が座った後、ヘラクレスはたどたどしく話し始めた。

「『・・・あなたはネコ吉さんですか?』」
「・・・『はい、そうです。』」

ネコ吉って・・・私は男なのか。そうか、と言うか。それ以前に私はネコだったのか。

「『ネコ吉さんは誰と仲良しなのですか?』」
「・・・えーっと、『ネコ・・・あー、ネコ三郎さんです。』」
「『ネコ三郎さんは私ですか?』」
「え、これってはいと答えれば良いのか?」
「『私ですか?』」
「・・・『すみません、解りません。』」

そう私がそっぽを向いて答えると、ヘラクレスは「菊にもそんなことを言われた・・・。」と呟いた。

「・・・菊にも言ったのかこれ?」
「ん・・・いけなかったのか、ナマエ?」
「いや、それは君が聞いてくれ。菊の事を私が知るわけ「ナマエ。」・・・ん、どうかしたか?」
「ヘラクレス。」
「え、・・・もしかして、名前で呼べと?」

そう言うと、ん、と言われて頷かれてしまった。(確かに、あまり名前で呼んだ記憶がない。)

「言いにくいならハークでもヘラ良い。」
「いや、それはちょっとまずいだろ「ナマエ。」・・・解った、解ったよヘラ・・・・・・クレ、ス・・・・。」

いきなり言おうと思っても、なかなか口から出ないのが人間(あ、私の場合は神になるのか)ってもので。 凄く途切れ途切れに呼んでしまった。(だからか知らないが、凄く微妙な顔をされた。)

「・・・やっぱり私には無理だ。」
「大丈夫。ナマエならやれる。」

一体その自信はどこから来るのかと聞いてやりたい。
その後。ボーっと縁側に座っていると、いきなり名前を呼ばれる。

「ナマエ、俺の所の神様・・・知ってる?」
「ん?あぁ、あった事はないが、知ってるぞ。ギリシャの神話好きだからな。」

そう言うと嬉しそうにして、ヘラクレスはこっちを見る。何となく気恥ずかしくなった私は、そっぽを向いてギリシャの神様の名前を言っていく。

「ん・・・ナマエ良く知ってる。」

言っている途中、ヘラクレスがペターと背中にくっついてくる。(喋っている私の声が上擦ったのは、気のせいじゃないだろう。)

「ナマエは、もう少し俺の神様みたいに、なった方が・・・良いと思う。」

それは気持ちを露わにしろ・・・と言うことか?

「少し無理な相談だが、善処しよう。・・・で、どうしたら良いんだ?」
「・・・誰かを好きになればいい、と思う。」

それを聞いて、私は一瞬固まってしまう。その行動に気づいているのかは知らないが、彼はまだ訊ねてくる。

「今、好きな人・・・いる?」

それに私は、後ろにいるヘラクレスに聞こえるか聞こえないか位の声で、「いる、な。」と答える。

「そっか。じゃぁナマエ。あなたの好きな人は誰ですか?」
                                       
その日本語を聞いて私は固まり。(何でそこで日本語なんだ!?)ヘラクレスは抱きついてきて、頭がだんだん真っ白になっていく。

「な・・・・・・「『誰ですか?』」・・・『あ、えっと。ね、ネコ三郎さんですかね。』」
「・・・ナマエ、ネコ三郎ってだれ?」

それを聞かれた途端、私はヘラクレスの腕を振り解いて、ズカズカと社へと歩き出した。

「あーっ!もういい、私は帰る!社に鎖国する!」
「ねぇ、ナマエ。ネコ三「ついてくるな!菊の所にでも行って来い!!」


思い浮かべたのは誰の顔?


全く菊は、客人をおいてどこへ行ったんだ!!! その時の私は、玄関の方からこっそり覗く人物の存在なんか知る由もなかった。



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