常習的模範囚の場合 なにがなんでも捕まっていたい男の話。 模範囚ととある将校の話 俺は精神状態がおかしいのだと自覚している。 なぜなら、以前より居心地が良いんだ、不思議だろう? 誰の期待も、誰の視線も気にしなくて良いんだ。 なら家に引きこもれと、思うだろう? だが、回りの期待だとか世間だとかに馴染みたいから無理を押し通してしまうんだよね。 それで、何回もそれを繰り返して、まぁ今回は流石に酷かった。 そういうことだ。 何回も言う。自覚があるようでないから怖い。 自分が何をしでかすかわからないのだから。 今回は今までより更に酷くて、死者を出した。発狂した。我慢ができなくなった。回りを消してしまえば良いんだ、と気づいてしまった。 俺を捕まえたのは、海軍だった。 当然だ、悪いことをしたのだから。 だるそうに将校が、この島にはお前一人か、と尋ねた。俺は、いきているのは俺だけのはずです、と答えた。 何故と聞かれたから、みんないなくなったからと答えた。吐き気がする。 嘘は言っていないけど、 真実はそこにはない。 海賊か?いいえ。海賊がやったのか?いいえ。どうしたんだ?わからない。 わかるのは俺が異常だということだけだ。 あんたがやったの? きっと。きっとそう。 頭大丈夫?大丈夫じゃない。だから困ってる。 俺は普通じゃ、ない。 掌はすでにしろいが、 俺にはあの時の赤が見えた気がした。忘れていた、己の掌が赤いということを。 (いっそ殺して、) と泣き掴んだ腕を貴方は酷く冷たい掌で振り払った。(わからなくて、怖いんだ、自分はまともじゃ、ないから) 捕まってからは常識人。暴走したら殺してくれると約束してからは案外伸び伸び暮らした。だってこの人は、親友だって殺せる人だ、だからきっと。 俺の最後は冷たい指で、 彼はきっと助けてくれるのだろう。 残酷に彼は笑った。 愛してる、だから、俺より先には死なないでね。と。 精神的に病んで暴走しちゃうがひどく普段はストイックて大人しい主人公と、 だるそうにしながらなんとかならないかと模索する青雉の話。 back |