弐 「どうにかしろ、ってざっくりすぎるだろう。」 まぁセンゴクさんからしてみればいい加減にしてほしいのだろうが、女性に生れつき興味のない厄介な俺に頼むということはそういう事だろう。センゴクさんには既にカミングアウトもしているし、既に海軍内でも疑惑が流れているようだから今更になるが。 「俺にも好み、ってのがあるんだけど。」 ぺらぺらと資料をめくればそれなりに整った顔写真、だが如何せん俺の好みとはちょっと違うなぁと溜息。やるしかないのは知っているが、どうにも困る依頼である。受けてしまった己を悔やみながら資料をごみ箱に放り出した。 「なるようにしかならないでしょ」 一時的に骨抜きにするのはあの七武海のハンコックとならぶ魅了能力を有する自分には容易い事なのだが、長期間となると話は別である。うっかりやり方を間違えるとクザンの性対象相手を広げるだけになりかねないし、ショックで海軍辞められても困るし。どうにも難しい。 あー、憂鬱。 俺以外にも優しく諭してくれたり運動や愚痴で発散させてくれる先輩中将だって沢山いるだろうに。ガープさんとか、ゼファー先生とか。 と考えてはた、とセンゴクさんの思惑に気づく。 あの狸、もしかして俺がちょいちょい新人摘んでるの知ってて厄介者同士くっつけようとかしてるんじゃないだろうか。そうならば、ただじゃおかない。 直談判だ、と扉を開けようとノブを握ったのだが、その瞬間俺の手ごとノブが回転し、扉が開いた。内開きの扉であったため、その勢いでしこたま俺は額を打ちつけられた。 「あっ、大丈夫でした?」 back |