青い鳥になりたい 昼寝は青雉らしくていい。原作通りで、素晴らしい。脱走だって始めは心苦しかったが慣れてしまえば、もうあとは楽な方に流れていくだけである。まぁ俺も心苦しいから最低限は仕事しているが。 「ナマエ大将。」 執務机に突っ伏して寝ていれば「起きてくださいよ、」と眉を下げて声をかけてきたのは元祖青雉、もといクザン少将である。今は俺の可愛い庇護対象(部下)だが、昔は紙面であんな人になりたいと憧れていたキャラクターだ。今じゃ彼の人生を奪ってしまった俺は、本来彼が歩むべきだった道を歩いているが、果たして彼がなるはずだった青雉に近づけているだろうか。 「サカズキ大将がマジ切れ寸前でしたよ。また書類サボってるでしょ。」 「あぁ、じゃあやらなきゃだな。」 ただし、しっかり休んでから。染み付いた昼寝癖は簡単には抜けやしないのだから。 「ねぇ、クザン。俺ってカッコイイ?」 (きちんとおまえらしくできている?) 「かっこいいです、サボんなきゃ余計に。」 「ちゃんとやるってば。」 軽口を叩く彼がそうしていると俺の知っている彼と同じで笑ってしまう。彼は青雉でなくても彼自身だから当然だというのに。 「クザン、海軍楽しい?」 俺の知っている彼は、とても辛いと心を凍らせながらも優しく不器用に笑う男だった。では今の君は?昔とはちがったポジションで楽しく過ごせているなら、良いなと思う。その分、俺は君の分まで上手に青雉を演じ切るから。 青い鳥になりたい 「ナマエ大将、なんて顔してるんですか。」 「んーん、なんでも。」 「馬鹿な事を考えてるんだったら、面倒なんで止めてくださいよ?」 なんて可愛い事を言うクザンの膨れた頬を突く。 「ん、いずれまた言うよ。」 まだ時期じゃないし、と言えば「ぜったい時期が来たら、言ってくださいよ。」と約束させられた。 「俺も、覚悟しなきゃね。」 書類の束に紛れ込ませていた3000万ベリーと書かれた麦藁の手配書を山から抜き出し、くしゃりと握りしめて呟いた。 back |