中編:海賊♂ | ナノ


騒々しいお茶会


もう14時かぁ、そういえば今日は15時からボルサリーノさんとお茶会するって予定だったな。茶菓子買ってこないと。

「クザン、茶菓子は何が良いと思う?」
「黄猿大将だったら洋菓子じゃない?」
「いや、種類の話だ。」

困ったな、買い出しに行かなくては何も部屋には無いし。

「かき氷じゃ、ダメかな。」「いや、駄目でしょ。」
「だよなァ、ひとっ走り茶菓子買ってきてくれる?」

あ、時間内に帰ってきてね〜と手を降って送りだせば、瞬間鳴り響く電伝虫。受話器をとれば聞き慣れた声が電伝虫を通して響く。

「わしじゃあ、」
「どしたの、サカズキ。」

聞けば珍しくサカズキから茶に誘われる。あまり無い事だから何より優先してやりたいが、どうしようか。

「あー、今日じゃなきゃ駄目?」
「ナマエに用事があるなら・・・次でも構わんが・・・」

しゅん、と言わんばかりにもう既になんだか電話の向こうでふてくされているのだろう様子が電伝虫の表情から伝わってくる。どうしようか。これ以上サカズキの機嫌を損ねるとあとあととても面倒くさいしな・・・。

「俺の部屋でなら・・・」

気付いたらそう呟いていた俺に、了承の言葉が電伝虫の向こうから聞こえてきて、電話が切れる。余計なことは一切しないサカズキらしいが、呼び止める暇もなかった。

あー・・・ボルサリーノはホット、俺とクザンがアイス。とりあえずサカズキもホットでいいだろうか。そう決まれば茶菓子の種類や数も決まりだ。早速クザンの子電伝虫に連絡し、ボルサリーノに場所を俺の部屋にしてもらう。あいつら仲悪く無かったと思うし、大丈夫だろう・・・なんて考えが甘かった。




「ちょっと遅れちゃった〜、ってうわ・・・なにこれ。」
「お帰り、クザン。」

面白いだろう、と現実から目を背けて笑ってみれば、クザンが渇いた笑いを零した。それもそのはず。来客用の長椅子にみっちりと三大将がひっついて座っているのだ。目も疑いたくなるだろう。

「えっ、どういう事?」

「いやぁ〜、わっしもびっくりだよ、まっさかサカズキも居るなんてさァ。クザン君も出払ってたからチャンスだと思ってたのにねぇ〜!」
「だからといって抜けがけは赦さんといったじゃろうが!!」

間に俺を挟んで喧嘩しないで、特にサカズキ。鼓膜やぶれちゃうから・・・。ぎゃんぎゃんと騒ぐ左右に少しだけ先程の自分の行動を省みてぐったりする。というかこの状況ってなんですか、俺もそう聞きたい。

「まったく、いいじゃない。たまにはわっしにもナマエくん独り占めさせてくれても、罰は当たらないよォ〜?」
「貴様は手が早いからわしが見張っとらんといかんくなるんじゃ!」

ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人に大体の事情が読めたらしいクザンがチラとこちらを見て溜息。えっなに俺が悪いの?


「あー、頑張れ!」

親指立ててやる気なさそうに言われても頑張れる気がしない。あと何を頑張ったらいいのかもさっぱりのままだ。

「助けてクザン!」
「自力でやれるでしょーが。」
「光とマグマ相手にどうしろと!」
「一般海兵の俺にそれ言うの?」


クザンならやれる、ヒューかっこいい、惚れちゃいそう!なんて冷やかせば、すごい冷めた目で見られた。なにそんなに気持ち悪いか、と自分の上司に置き換えて見れば・・・気持ち悪いな。センゴクさんがそんな軽口叩いてフレンドリーだったら確かに気持ち悪いわ。

「そういうの、やめてくれません?巻き込まれたくないんで。」
「ゴメン、男相手に冗談でも嫌だよな。」
「わしは「わっしは気にしないよォ〜!」・・・ボルサリーノ!」
「うわ、サカズキ能力使うなって!ソファ焦げてる!」
「まったくいい歳して能力もコントロールできないのォ〜?」
「ボルサリーノも煽らない!!」
「サカズキのせいでわっしまで怒られたじゃないかァ〜!」
「元々だいたいがお前のせいじゃろうが!」


騒々しいお茶会


ボルサリーノとサカズキが喧嘩のせいで、俺の執務室のソファ始め色々隣の部屋まで被害がでたらしく、センゴクさんに三人そろってしょっぴかれた。机に積まれた始末書が憎い。

「で、結局?」
「ソファ駄目になりましたが、サカズキが赤い大きいの買ってくれるみたいなので、大丈夫!」
「それじゃなくて、結局あんたはサカズキ大将とボルサリーノ大将とどっちが好きなのよ。」

何故いきなり好きだの嫌いだのという話になったのかわからないが、俺の中ではどっちも仲の良い同僚だし、甲乙などつけられやしない。言葉に詰まってしまったので、頭を一度リセットして素直に考えて口にしてみた。

「・・・俺はどっちかと言われたらクザンが良いかな?あの二人たまによくわかんないし。」
「あー、もう良いや。ありがとうございます、ってとりあえず言っとくわ。」

若干照れたように頭をかくクザンはやっぱりどこの奴らよりかっこいいと思う。親馬鹿のような気分になりつつ、喧嘩のせいでそれどころでなくなって食べ損ねていたシュークリームを頬張った。まだ人数分箱に入って居るので、サカズキ達にも持っていってやらなくては。

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