ショート | ナノ
真っ青な春


「なぁ、ナマエ。ナマエはどんな“青春”してんの?」
「・・・は?」
アントーニョがそう聞いてきて、危うく本を落としかけた。
いきなり何なんだ!?

「あ、アントーニョ君??きみ、頭大丈夫か?」
私ら国だよ?青春なんて、何時のことを言うんだい?
そう聞いたら、アントーニョはにこやかに笑って。
「だって。学園に居る時が青春で、大体は3年間の間で彼女を作るもんだって、菊がゆうとったし。」
「あ、そうですか。」
彼は何かのゲームのやりすぎじゃないのかな、とか思ってしまう。
私から言えるのは、菊、2次元と3次元をごっちゃにしちゃぁいけないよ??
「で、ナマエはどんな青春しとるんやろうなーと、思ってな。」
「ふぅん・・・。」
まぁ、今はなんか学園に居ることだし、青春真っただ中という訳か?
「私の青春かぁ・・・。」
「ないって言うのは、駄目やからな?」
それを聞いて、彼に曖昧な答えは通じないと悟った私は、頭を一生懸命回転させて考える。
そして、5分後、私は考えた答えを口に出した。

「私の青春は、涙を流し、汗を流した部活動です!!」
「・・・ナマエ。なんでそんな面接で言うような言葉遣いなん?」
「いや、何か格好良く言いたかったんだけど。」
名誉のために言っておくけれど、実際の面接ではこんな事言ってませんから!
こんな事言ったら、絶対笑われるし。
「格好良く言おうと思ったら、何かこんな感じになった。」
「ま、ナマエらしいわ。」
そう言って、アントーニョは笑い出す。
まぁ、本当はもっと、青春らしいことしているのだけれども、彼には黙っておくことにした。
私の柄じゃないし。

そして、また本を読んでいると、頭の上から声を掛けられる。
「ナマエ、それ、おもしろいん?」
「・・・君はまだ居たのか。フランシス達、もう帰ったんじゃない?」
「んー、帰ったかもしれんなぁ。」
まぁ、ええわ。と答えて、私の席の前へ座る。
私は動揺を抑えながら、「なに。」と聞いた。
「そう言えば、さっきの答え聞いてないわー。」
「はぁ?言ったじゃん。部活だって。」
「だって、それ。“夏”っぽいやろ?」
「まぁ・・・確かにね。」
だからさ。
「もし良かったら、俺と青春しませんかー・・・ってな!」
顔を真っ赤にしながら、彼はそそくさと扉の方へ移動していく。
「アントーニョ。」
私は呼び止める。
そして、振り向いた彼に鞄を投げつける。
「いたぁ!」
どうやら、顔にクリーンヒットしたらしい。(悪いとは・・・思ってない!!)
「ほら、帰るよ!!」
そう言って、私は彼よりも早く教室を出た。


一緒に青春しませんか

                                      
どのみち、私には“青春”は無理みたいだ。と思った。
なぜならば、相手が真夏の太陽みたいな奴だから。
私の心のキャンパスは優しい青じゃなくて、原色のような青に染まるのだろう。
夏の空のような清々しい青に。



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