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アッチェレランド片思い


「ナマエ様、申し訳ないのですが・・・ダブルトレイン、いつまでに直るでしょうか。」
「なかなか素晴らしくやらかしてくれたので・・・結構かかると思いますよ。」
貴方の弟さん、どうやってバトルしてるんですか。実は電車嫌いなんじゃないんですか。
と言いたくなるような見るも無惨なトレインを思い出しながら、乾いた笑いをする。

「・・・・・・本当に申し訳ございません・・・・。」
「いえ、これも仕事ですから。」
ふざけるなとか、一言でも言えたらいいのだろうが、どうもそう言うことが言いにくい。
以前部下に「イッシュはハッキリ自分の意見を言わないといけませんよ!」と言われたが、性格なんてそんなに変わるものじゃないと言いたい。
むしろ、本人じゃない人に文句を言ったって可哀想じゃないか。とか、余計なことまで考えてしまう。
まぁ、この人も結構やらかしてくれるんですけどね。

「一週間・・・位でしょうか。」
「その間まで替えがあればいいんですけどね・・・。」
「・・・耳が痛い話です。」
しかめっ面を更に顰めてそう呟くノボリさんを見て、苦笑しながら返事を返す。 
「3日で終わらせますよ。」
「!!よ・・・よろしいのですか!?」
「今回は外面はいつも以上に酷いですけど、内部はそこまで損傷していないので。」
うちの部下達、仕事が早いですからそのぐらいには終われますよ。と彼に付け加えるように言った。
最悪の場合、私が残業すれば間に合うだろう。

「あのナマエ様。」
「はい、何か。」
「貴女様が残業せずに、それは終われるのですか。」
「!!・・・・・・・大丈夫ですよ、何事もなく終われば残業なんてしなくて済みますから。」
むしろ。ノボリさんがどうして私が残業する事を知っているんですか。(そんなに頻繁に残業なんてしないし・・・。)
聞こうと思ったが、少し怖かったので、私は別の話を持ちかけることにした。

「あー・・・そう言えば、クダリさんは忙しいんですか?」
「何故そのようなことを?」
ちらりとみてしまったグレイの瞳が、若干細められたので、私は内心冷や汗を流しながら、しどろもどろに応える。
「あ、いえ、ね。ご自分のトレインが壊れたのに、来ないんだなぁ・・・って、すいません、そちらも忙しいのに。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
やばい、これは完全に怒ってる。そう思って、こっちを凝視しているノボリさんの目を見ることが出来ない。
これは謝っておこう。そう思い、口を開いた途端、「申し訳有りません。」の声が聞こえた。

「クダリでも、ここに来られるぐらいの時間はございます。」
「あ・・・そうなんですか、でも、来ないのは・・・怒られると思っているからですかね、やっぱり。」
確かに前、ちょっと怒りましたけど。と困ったように笑うナマエ様。
そんなナマエ様にわたくしはゆっくりと横に首を振りました。

「ただ、わたくしの、我が儘でございます。」
「わがまま、ですか?」
「はい。」

わたくし、このような時間でないと、貴女様にお会いできてもお話をすることもままなりませんので。
クダリに我が儘を言ったのでございます。
耳元でそう呟いてみせれば、ナマエ様はそっぽを向いて、
「っじ、じゃぁ、今から発注しないといけないので・・・あの、えっと・・・し、失礼します!!」と言って走っていかれました。
ただ、その後ろ姿からチラリチラリと見え隠れしている赤い耳元が、わたくしに微かな希望を示してくれたように思います。


アッチェレランドな片思い
 

(クダリ!わたくし言えましたよ!!!)
(あー・・・うん、長かったもんねー。『ナマエ様に告白します!』って言ってから1年はかかってる。遅いよ。)
(はー、ドキドキしました。)
(で、ナマエは好きって言った?)
(次会ったときに、告白します。ナマエ様もわたくしのことは嫌いではないみたいでしたので。)
(え、ストップ!まだ言ってないの!?今日何しに行ったの!?)
(ナマエ様に少々わたくしの本音を言いました。)
(もー!!!遅い!僕だってまたナマエに会ってお話ししたい!)
(いけません、クダリ!ナマエ様が貴方のことを好きになってしまったらどうしてくれるんですか!!)
(じゃぁ、さっさと告白してよ!)


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