ショート | ナノ
言葉の重要性


こつこつこつと私の足音の後に、それと少し遅くコツコツコツと響く音がする。
チラリと後ろを見てみれば、何故か嬉しそうな顔をして私の後ろを付いてくる。
正直言って、不気味だ。
「あの。」
「ン、ナニ?」
「キャメロンさん。なんで付いてくるんですか、仕事はどうしたんですか。」
「今、休ミ。ナマエハ・・・マダ仕事カナ?」
「さっき到着したダブルの点検がありますので。」
「ンー・・・ソッカ。ナマエ イツナラ暇「暇はありません。エネコの手も借りたい気分ですよ。」
そう言って工具箱を抱え直して歩き始めると、彼もそれに習って後ろから付いてくる。
だからなんで付いてくるんだ。

「ナマエ。ナマエ。」 
「何ですか、キャメロンさん。帰るなら、あちらから帰ってくださいね。」
結局作業場まで付いてきてしまい、見学をする始末。(しかも偶然居合わせた上司がパイプ椅子を出しやが・・・いえ、何でもないです。)
「ナマエハ俺ノ事、嫌イ?」
「あー・・・嫌いじゃないですよ。・・・・・・またなんでですか?」
どちらかといえば、苦手なだけで。とは言わずに、別の話を持ちかける。
「ナマエガ俺ヲ避ケテル様ナ気ガシテ。俺何カシタノカナァ ト思ッテ。」
わぁ、よく解っていらっしゃる。とか、じゃぁ何で付いてくる。とか思ってしまったが、反論するように口を開いた。
「キャメロンさんは何も悪くないと思います。ちょっと私と考えが違うので、戸惑っているだけです。」
「考エ?」
「自画自賛は良いんですけど「ジガジサン?」えっと、自分を褒めるって意味ですかね。」
まぁ、それは良いんですけど、『ポケモンを操る』って言い方が好きじゃないです。
そう呟くと、それだけ?というような顔をしてくる。
「ポケモンがものみたいに聞こえるので、ちょっと私は好きじゃないです。」
「・・・ジャア、ソレ 止メタラ俺ノ事好キニナル?」
・・・それとこれとは話が別だ。とか言おうと思ったら、後輩に名前を呼ばれる。
「あーキャメロンさん、すいません。呼ばれたんで行かないと。」
ぺこりと軽く頭を下げて私は奥の車両へと走り出した。

ナマエが走っていったのをじっと見つめた後、俺はゆっくりと椅子から立ち上がって外へ出る。
「運転スルノハ得意ナンダケドナァ・・・・・・好キナ子ニ好カレヨウトスルノハ、難シイナ。」
そう呟きながら、仕事場へ戻った。


出来ることから


(運転スルノハ得意ダケド ポケモン操ル・・・違ウ・・・ポケモン勝負ハ 苦手)
(どうしたんやキャメロン。いつもの台詞、替えたいんか?)
(俺ノ格好良サヲ、アップ サセル為。)
(今、何かちょっとイラッとしたんやけど。)



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