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ただいま恋愛最前線


「・・・ふぅ。」
そう言って、私は頼まれていた荷物を、地面へ下ろす。そんな疲れ気味な私の後ろから、紅い物体が。

「師匠ぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉ!!」  


某は師匠に恋をする
 

「げふぁぁ!!」
紅い物体にタックルをされ、女じゃないような声を出す私。(武将だけど、一応女なのだよ?)
「あ。だ・・・大丈夫でござるか!?」
そう言う紅い物体。これでわかった。タックルをかましたのは、真田幸村だ。

「大丈夫じゃないのは・・・わかっているだろう?」
「す・・・すまぬ。」
いきなりシュンと黙ってしまう幸村。何か私が悪者みたいじゃないか。

「ま、良いけれど。『師匠』は止めてくれないか?」
「師匠。「名前。」・・・名前殿は特別でござるからしてっ!」
「違う!(どんなのだよ!?)」
そんなことをしていると、ふと、自分が運んでいた荷物が見えた。

「・・・あ。」
そう言って荷物を見ていると、幸村が何かを感じ取ったらしい。(そう言うときだけ鋭いもんな・・・。) 
「名前殿。某が代わろうか?」
まぁ、見るからに重そうだもんな。これ。だが、私は断った。(頼まれたのは私だし?) 
「では、某は名前殿の働きを見ているでござる。」
どんな働きだよとか、心の中で突っ込みながら仕事を始める。
「重い・・・。」

タックルをかまされたのは痛かったな。すげぇふらふらする。そう考えていると、いきなり目の前が真っ白になって・・・その後のことは、覚えていない。遠くの方で、誰かが呼んでいた気がするが。 

「・・・殿。名前殿っ!!
「・・・幸村?」
目の前には天井と、真田幸村。
「ここ、何処?」 
私は布団の上に寝かされているが、私の布団ではない。ということは、私の部屋ではない。

「某の部屋でござる。」
そう言った後、ぽつりぽつりと幸村は話し出した。どうやら、私はいきなり倒れたので、此処へ連れてきた・・・というわけらしい。何となく理解した私は、辺りを見回す。

「結構綺麗なんだねぇ・・・。幸村の部屋。」
「某は、べつにどうでも良いのでござるが・・・。」
そう言う幸村を見て、一瞬だが、肩をすくめながら泣いているヤツを思いだした。
(・・・気のせい・・・だよな?)そんなことを考えていると、幸村が口を開く。
 
「し・・・名前殿。もう少し、自分のことを考えて欲しいでござる。」
「イヤ。君も人のこと言えないから・・・。」
そんな私の突っ込みを無視して、幸村は話し続ける。

「某、心配なんでござるよ。」 
「はぁ。」
「名前殿が傷つくのが、見たくないんでござるよ。」
「はぁ。」
いつまで続くのだろう?だんだん、佐助みたいになってきた気がする。

「・・・で、某は、名前殿のことを、お慕い、申してっ・・・いるのでござる。」
「はぁ。・・・・って、は!?」
「だから、某は名前殿のことをおs「2回も言わなくて良し。恥ずかしいから。そんな大声。」
そう言って、幸村の頭を叩く。その後、何を言えばいいのかわからなくなって、私は口を閉じる。

「・・・。」
「・・・。」
その時だった。
「よく言った、幸村ー!!」
「お・・・親方様?」
スパーンという、ものすごくいい音をさせて現れたのは、武田信玄。これは、幸村も思っていなかった事態らしい。 何か、信玄が幸村に対して言っているが、口をぽかんと開けている。しかし、その後はいつもの殴り合い。のんびりとそれを見ながら、私は呟いた。

「私もお慕いしてますよ、幸村。・・・って、聞いていないか。」
言っても気付かず殴り合っている人に、私は笑いかける。


この思いを聞いたのは、熱気をまとった風たちだけ。


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