臆病なココロ 「最近よく眠れないの」と、いつも君は無防備にも潜り込んでくる。結婚しているのだから当たり前、と言われてしまえばそれきりなのだが。 「幸、幸が女の子苦手なの知ってるから、我慢しなくて良いよ?」 そう笑う、君の笑顔が不意に悲しそうな目をするのを見つけてしまう。 「そう言うことではないんでござるが・・・。」 「じゃあさ、腕、貸して?」 不意に立てていた腕を横から奪われ、バランスを崩してしまう。2人とも完全に横になった状態で、もつれた布団をさっと君は直している。 「何もしなくていいからさ、一緒に寝よ?」 「な・・・某、心の準備が・・・!!」 彼女はすこし呆れたように首を傾げたようにして呟く。 「一緒に寝るのも駄目?幸村って難しいね、昔は一緒に寝てたのに。」 昔の自分たちと今の自分たちでは意味が180°違ってくる。 「駄目・・・ではない・・・///」 〈夫婦なんだからさー、いい加減にしとかないと愛想尽かされちゃうよ、旦那?〉 先日、佐助に言われた言葉が頭に浮かぶ。 「幸村、体温高いから純粋にくっついてたいだけだから、気にしないで?」 そう言って抱き枕にでもしたいのか俺の腕を取り、絡ませる。夫婦になってからも、ほとんど今までとは変わらない毎日。閨を共にしても進展は特に無い。幸村が奥手なのを知っている彼女は何も言っては来ない。だが、幸村も彼女の気持ちに気づかないほど子供でもない。 「その・・・」 「幸村は、気にしなくてもいいの。」 彼女は笑う。 「すまない・・・」 「私も、承知でお嫁に来たんだから、ゆっくりね?」 女の子に免疫がないのならだんだん慣れていけばいいから。 「だから・・・謝らないで、ね?」 彼女はそういって幸村の髪を撫ぜて眠る。眠ってしまった彼女の頬を撫ぜて口付ける。今の自分にはこんな幼稚な口付けが精一杯で。 (もう少し・・・勇気があったなら・・・) 君を傷つけたくないのに 君を傷つけるのは他の誰でもなく、 back |