時の魔法に流されて 小さな女の子が居たんだ。その子とは、山の中で出会ったのだけれど。あの子が話した自分の夢を、今でも覚えている。 「私はね、大きくなったら名前のね・・・。」 それはずっと昔の思い出。 思い出を頼りに、私はその子に会うことにした。 会えるかどうかはわからないが、とりあえず大海原を進んでいる。 「おじさん、四国まで後どれくらい?」 「んー・・・もう少しかな。ほれ、島が見えるだろう?」 そう言って、おじさんは遠くに見える島を指さした。島というか、海に浮かぶ国。だと私は思った。(島と言われても島に見えなかったから。) 「しかし、よくここを渡ろうと思うな・・・。」 そう言って呟いたおじさん。私は、何故かと聞いた。 「名前さん・・・と言ったな。ここら辺は海賊が出るんだよ。」 「海賊?」 そう言いながら、海を見わたす。見わたしていると、海や島ではないものが見えた。 あ、船だ。 「大きな船に乗っていてな。金目のものを取っていくらしいよ。」 「おじさん。大きさ的にはあれぐらい?」 どんどん近づいてくる船を指して言った。すると見たとたん、おじさんの顔が青ざめた。 「・・・あれだぁぁぁぁぁぁぁっっぁあ!!!」 「うそぉ!?」 そう言った後、おじさんは私を海へ突き落とした。そして、突き落としたおじさんは、大急ぎで戻っていった。(私はどうするんだ薄情者。) そうしている間にも、近づいてくる大きな船。そして最終的には、船にあげられてしまった。 船へあげられた後、海賊らしき人達に囲まれる。 「何か、田舎モンが四国に来ようとしてましぜ?」 「オレ、アニキに伝えてくる。」 そう言って、どこかへ行ってしまった誰か。 しかし、周りは囲まれている。私は、周りを見て。 (・・・逃げられそうだ。) そう思って、暴れ始める。(そして、早く逃げ出したい。) それによって、周りが刀とかを取りだした。(取りだして欲しくなかったな・・・。) あまり傷つけたくはないが、私も鞘から刀を取り出す。 「・・・名前。参る。」 そして、数十人倒したと思う。すると、向こうから人がやってきた。銀色の髪をした人。それを見た私は、一瞬固まる。 「チカちゃ・・・・っあ!?」 向こうの人は、一瞬固まったのを見逃さなかった。一瞬の隙に四爆と言うこうが聞こえて、綱にとらわれてしまった。 「うわ、何これ。網!?」 「うちのモンが世話になった礼だ。」 いや、お礼になっていないから、とか思ったりしながら銀髪の方を見る。 「・・・チカちゃんじゃないね。気のせいだったみた「何で俺の名前を知ってる?」・・・え?」 そう言って、銀髪の方は網を下ろしながら言う。 「俺は長曽我部元親だ。アンタは?」 「名前・・・覚えてないよな。というか、女の子じゃぁなかったの!?」 「名前・・・あぁ!!あの時の。って、名前。それは気にするな!!・・・でも、久しぶりだな。」 そう言う元親。(嬉しそうな顔は昔と変わらない。) 自分の知っている元親だとわかって、少し安心した。そんなことを思っていると、元親が私を呼ぶ。 「名前ー。こっち来てみろよ。」 元親の所へ行くと、島の上に城が見える。 「・・・城?」 「あぁ、俺の城だ。あれから、俺は四国を統一したんだ。」 「戦が嫌いだった子が。」 「・・・今でも好きにはなれねぇ。でよ、名前。俺とこねぇか。」 真剣な顔をする元親。その目は強かった。 「ここを狙ってくる輩が多いんだよ。名前、俺は一人でも多く死なせたくは無いんだ。」 そう言って、こっちの方を見た。私はその返事を出す。 「行っても良いよ。」 「本当か!」 そう言って、元親はにこやかに笑った。 「じゃぁ、名前。俺の夢も実現させてくれよ?」 「っつ!!」 あのね、名前。私の夢はね。 「大きくなったら、名前のお婿さんになることなんだ。」 昔は、なんでか不思議だったけど。(と言うか、夢は忘れていなかったんだな。) 私は元親の後ろを見ながら思った。近々夢は実現するだろう。(それが嫌ではない自分が居たのだから。) back |