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彼女は神になったのだ


ああ、マジカッコイイべ・・・!
緊張して近づけないおれは、ルフィ先輩の後ろを遠くから眺めていた。
・・・・・・正直、遠くからしか見守ることしか出来ねぇのが悔しい話だべ・・・。

「嗚呼、どうしたらいいべ・・・。」
「お兄さん、どうかしたの?」
「っあぁ!?」

驚いて声がした方を見れば、白いワンピースを着たガキが立っていた。


「ガキには関係の無い話だっぺ!ほら、さっさとあっち行きな!」
「ちょっと、子ども扱いしないでよね。あたしは一人前のレディなんだから!!」
「へーへ―そうですか、おガキ様」
「・・・・・・あっそ。そんな口をきく人なら、もう手伝ってあげないんだから。」

そう言って反対方向へと歩いて行ってしまうこのガキ。
一体何を手伝うっていうんだべ。と思いながら、「おい。」と声をかける。

「なによ。」
「何を手伝ってくれんのかは知らねぇけどよぉ、おめェにしてもらいてぇことなんてねぇべ。」
「ふーん・・・せっかく話つけてあげようと思ったのに。あなたの好きな麦わらのルフィさんと。」
「っ!!!る、ルフィ先輩と!?」

マジか!とガキのほうを見れば、無邪気な顔で笑っている。

「でも、お兄さん・・・あたしのお手伝い要らないみたいだし?『よけいなおせわ』ってやつなんでしょ?」
「いや、すいやせんっした!」
「変わり身早い・・・まぁいいや。」

そう言って、おれの方へととてとて歩いてくるそいつ。
名前を聞いてみれば、ナマエと言うらしい。

「・・・で、お兄さんは『しゃい』ってやつだから・・・。」
「おい、ナマエ。いつおれがシャイだって?」
「だってそうじゃない。あたしずっと見てたけど、全然声かける感じじゃなかった!」
「・・・・・・・・・。」

そのことについては、何にも言えねぇ俺がいた。


「話しかけられないんだったら・・・お手紙なんてどう?」
「て、手紙か・・・。」

何だか気恥ずかしいが、それしか方法が思いつかないことも事実。
ルフィ先輩のために良い便箋と・・・嗚呼、でも駄目だべ!おれの汚ねぇ字がルフィ先輩の目に晒されるなんて!!

「・・・・・・代筆、しようか?」

あたし字かけるし。と聞いてくるナマエを見て感動する。
適当にあしらっていたおれに、こんなに親切にしてくれるなんて・・・!!!

「・・・っお、お前・・・!!」
「うん、何?」

そう言って首を傾げるナマエ。そんな他愛もない仕草さえも、輝いて見える。
感動の所為か、ナマエが眩し過ぎるのか分からないが、涙があふれ出してきて前が良く見えない。
こいつは人間じゃない・・・そうだ、むしろ。

「・・・・・・マジ、神・・・!!」


彼女は神になったのだ


でも待てよ、自分でレディとか言ってたからな・・・女神か?
いやそんなんじゃねぇ。考えるんだおれ!・・・そうだ、こいつは・・・。

「・・・天使だべ。」
「ねぇ、大丈夫?どうしたの?」
「あぁ、だいじょび・・・だぃ、だいじょ・・・。」
「?ねぇ、ほんとに大丈夫?」

・・・・・・駄目だ、噛む!!!
目の前のナマエを可愛いと認識した瞬間に噛みはじめるおれと、俺の周りを心配そうにくるくる回るナマエ。
その行動すらも可愛いと思ってしまうおれは、もう末期なんだろうか。

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