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私の厄介な幼馴染みの話


「・・・助けてくれ!!追われてる!!」

久しぶりの依頼だったコーティング作業を終えて、港でゆうゆうと午睡を楽しんでいれば、やかましい声と慌ただしい足音が邪魔をした。目をあけるまでもなく俺の眠りを邪魔するのはナマエしかいないのだから、と軽く片目だけを開けてみれば、毎回ながらの焦り顔に苦笑しか出てこない。

「・・・女か?」
「・・・良くわかったな!!」

何度もこういうことがあれば嫌でもわかるだろうと呆れながら開いていた目をまた閉じる。

「頼むって! あいつ今回は刃物持ってるんだよ!」
「・・・いっぺん刺されてみれば目が覚めるんじゃないか?」

というか女のヒモのような生活をしている自分に言えた試しではないのだが、コーティング職人としてたまにはこうして働いている分、ナマエよりまともだろう。そんなヒモ暮らしの男がなにかしでかして女に刺されるというなら、もうそれは仕方ないんじゃないだろうか。

「・・・女の子相手に無茶したくないしぃ?」
「そのお綺麗な顔に傷でもつけば、ぐっと被害は減ると思うぞ。」
「それは困る。」

商売道具だからな、と胸を張る男に溜息をつきながら砂浜から起き上がる。両目をしっかり開いてやれば向こうから本当に女が走ってきている。彼女もまた可哀想に。

「・・・このクズが。」
「返す言葉もありません。」

上手く別れることもできないのなら、止めておけばいいものを。ちやほやとされるたびに移り気なこの男はふらふらとしているから、こういう事態になるのだろう。

「・・・迷惑料取るからな。」
「俺。金なんて持ってないって。」

俺が居るからか、彼女が近くへ走ってきてもへらへらとしている男の胸倉を掴み、有無を言わせず唇を重ねる。男は範疇外だと言って毛嫌いしていたから、良い薬になっただろう。驚いた顔をする男に笑いながら、さらに舌を絡めてやる。

「・・・っ、っふ」

不意打ちだったからか、経験値が私の方が高かったからなのかは解らないが、生娘のように頬を薄く染める男に笑いながら横目で女を見やって唇を離す。

「・・・そう言う事なのでね。お引き取り願おうか?」


女に笑いかけてやれば、なんだかよくわからない奇声を上げて走って行ってしまった。相変わらずこいつを好きになる女は大抵良くわからない。外面はいいのだからもう少しまともな女を捕まえればいいものを、と溜息をついてナマエに向き直る。

「おい、もう行ったぞ。」
「・・・レイリ―、」
「ん? ああ、良い薬になっただろう?」

誰も好んで男なんかとしたくはないからなと笑って小突いてやったが、いまいち反応がない。とりあえず落ち込んでいようが、怒っていようが私の知ったこっちゃない。


「これに懲りたら・・・「勃った。」・・・死ね。」


予測不能な災厄


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