ショート | ナノ
天井上の悪魔


「スモーカーさん、おやすみなさーい!!」と言って布団を被れば、静かに扉を閉めてくれるスモーカーさん。
そのことに対して、本当にあの人優しいくせに素直じゃないなぁ・・・なんて思っていると。書類に何かを書く音以外に、何か聞こえてきた。

「?天じょ・・・う・・・。」

そう呟いて、視線を上げて見れば、そこに、奴がいた。

「スモーカーさん、やだ!!た、助けて「おいどうした、ナマエ!!」

いつもとは違うナマエの様子に、ばん!と扉を開けて見れば、じっと何処かを見つめるそいつ。

「・・・・・・どうした。」
「あの、そこ・・・それ!!」

そう言われて視線をずらせば、黒光りした虫。・・・拍子抜けしちまったのは、言うまでもない。

「なんだ・・・もしかしてこいつの為に、おれが呼び出されたわけじゃねぇよな?」
「もしかしなくても、このカサカサツヤツヤアクタムシさんのせいですよ!!うわ、こっち来た!!お願いですから、何とかして下さい!!」
「・・・・・・確かお前、超音波みてぇなもの出るんだろ。それで何とかしとけ。」
「そ、そんなのでアクタムシさんが絶滅すると思ってるんですか!?」

無理、無理!!絶対無理です!!と喚き始めるを見て、どうせ端からやろうという気は無いのだろう。
仕方なく溜息をつきながら、机の上にあった紙を適当にひっつかんで、丸める。・・・が。

「おい、ナマエ・・・。」

な、何ですか。と聞かれたので、「見失った。」と言ってやれば、こいつはベッドの上で縮こまってしまった。
そして「探して何とかしてください・・・!」と言われるが、あえてこいつに言いたい。おれには仕事があるんだが。


やつ は しぶとい


「・・・自分で探せ。おれは仕事に戻る。」
「え!?や、やだやだ、嫌ですよ!!最後まで付き合って下さいよ!」
「・・・・・・・・・。」
「お願いしますよー・・・ほんっと、駄目なんですー・・・お願いします。あいつを何とかするまで付き合って下さい・・・。」

ちらりとナマエの方を見てみれば、硬い表情で縮こまっているそいつ。
おれがもう一度溜息をついて見せれば、びくりと面白い位に体が動いている。

「ったく・・・さっきの奴だけだぞ。他の奴が出ても何もしねぇからな。」
「っあ、ありがとうございます!!」

自然と浮かべる笑顔を見ながら、あー結局おれも甘ぇ。と思ってしまった。  

(と言うかスモーカーさん。あの、その・・・アクタムシさんを倒すその、紙って・・・。)
(あ?書類。)
(・・・・・・・・・。)
(何か不味いことでもあんのか?)
(いえ・・・な、何もです。)



  *  *  *

お題:スモーカーとベッドの上でトラブルになり、付き合い始める


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