ショート | ナノ
僕らの夏休み


「宿題やったか?」
「まだまだ。キッドは?」
「おまえらの移す。」
「ローはその口ぶりだと終わってそうだね。」
「いや、まだだ。」

あの程度ならすぐ終わるから別に・・・なんて悪い顔してわらうロー。これだから頭の良い奴は言うことが違う。

素行の悪さでいったら同じくらいな癖に、テストだと学年上位で、頭が痛くなりそうな難しい本をこれみよがしに読んでいるのは良く見るが、とくに勉強もしてるようには見えない。毎回頭良いなとは思うが、やらなくてもそのくらいは解る、なんてキッドと俺を自慢げに見下すのは凹むから勘弁してほしい。

「じゃあ、ナマエの予定は?」
「んー、特にはないかな。」

キッドとサッカー見に行くくらいしか特には日程の決まった予定は無い。あとは漠然とルフィとどっか行くか!なんて約束したくらい。

そう言えばローは寂しいヤツ、なんて上機嫌で笑う。キッドはちょこちょこ従兄弟のキラーとツーリングだのなんだのと予定を詰めて居るらしい。

「じゃあ、ローは・・・」

どうなんだ、と言いかけて止めた。そう言えばローは2週間前くらいに学年のマドンナに告白されてたっけ。常に女の噂の絶えないローに聞いたところで、自慢げに彼女の事を聞かされたくはない。なにせ、モテる彼と違って俺は今の今まで女子と付き合ったことなんて無いのだから。

「俺か? まぁ予定は特にはねぇな。」

驚く俺達を横目に、人の少なくなった教室の教卓の上に仁王立ちしたローは、ニヤリと笑って言った。

「じゃあ、ナマエ。海行こうぜ。」

それにキッドが「俺も行く!」なんてぎゃあぎゃあ騒ぎ出す。お前ら、本当に海大好きだな。

「そういやトラファルガー、お前。リナちゃんはどうした。」

キッド、そこは俺は触れなかったんだから空気読んでくれ。彼女自慢されて辛いのは独り身同士、お前も一緒だろうが。言ってから俺の視線に気付いたのかキッドがしまった、と眉をよせたがもう遅い。どうせ彼女自慢が始まって・・・あれ?

「あ?別に。」
「別にって、 ロー!お前、酷い奴だな!」

ローがそういう奴って事は前から知っていたけど! でもリナちゃんってモテない俺にも凄い優しかったいい子だったのに、ローの毒牙にかかってしまうなんて本当に可哀相。

「リナちゃん可哀相・・・」
「仕方ねぇだろ。ナマエ達と居る方が楽しいんだからな。」
「相変わらずローって友達思いーというか、残念だよな。」
「俺は気付かねェ、ナマエが凄ェと思うぜ。」


僕らの夏やすみ


結局のところ、海には何故かルフィ兄弟にキッド、キラー、ローに俺に、車出してくれたペンギンさんに、と凄く大人数になってしまっていた。それなりにビーチバレーやスイカ割りなど楽しく過ごせたのだが、帰りの車の中でローがじっとりと俺を睨んでいた。

「ロー、どうした?」
「なんでもねェ!」



  *  *  *

お題:ローに机の上で夏休みの予定を聞かれる(誘われる)

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